胆振管内厚真町の住宅街。コンテナを活用した小さな工房で「燻製(くんせい)工房Thmey(とまい)」代表の山下裕由(ひろゆき)さん(35)がカシューナッツの燻製作りに励む。トマイはカンボジアの公用語クメール語で「新しい」の意味。「新たに挑戦する思いを込めた」と話す。
町特産ハスカップの剪定(せんてい)された枝と町産炭でいぶしたカンボジア産カシューナッツが看板商品。かつお節のような香りと煙の強い風味、しっとりとした甘みが特徴だ。
小樽市出身の山下さんは2017~22年、日本の非政府組織(NGO)がカンボジア南部ウドンに建てた病院の事務職員として働いた。激務の合間におやつで食べたのがカシューナッツだった。
帰国後に旅行で道内を一周。道東で食べた魚介類の燻製の味に感動し「自分だけの燻製作りを」と一念発起した。紋別市の店で約1カ月修業した後、農林業が盛んで海にも面した厚真町の起業型地域おこし協力隊に応募し、協力隊の活動で23年6月、工房を開いた。
燻製する素材はカシューナッツを選び、一般的な桜やカエデでいぶしていたが「厚真ならではの木を」と24年6月から剪定後に処分されるハスカップも用い始めた。
70~90度の温度を保ち約1時間いぶすと完成。「温度管理はつきっきりで大変」という。商品は6種類で全て1袋40グラム680円。町内の商店「ハマナスクラブ」などで買えるほか、工房のホームページで注文できる。工房では販売していない。
山下さんは今夏、町内の古い木造別荘を改装し工房と民泊施設を兼ねた店舗を開く予定。「鶏肉や海産物の燻製料理とアルコールを楽しめる場にしたい」と意気込む。 (絈谷武史)
▼所在地 胆振管内厚真町上厚真235の3 |
▼電話 070・8977・8738 |
▼取り寄せ オンライン注文は公式ホームページから。 |
(北海道新聞2025年1月24日掲載)