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2025.02.18

「KATOSHOTEN」「蕎麦前 拍」2/20(木)オープン~北海道新聞社 新社屋1階~「創成イースト」の新たな憩いの場に

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

 昨年11月に札幌市中央区大通東4丁目に移転した北海道新聞社の新社屋1階に2月20日(木)、「KATOSHOTEN」と「蕎麦前 拍(はく)」の飲食店2店がオープンします。いずれも、北海道産の食材を使った料理やお酒を提供する落ち着いた雰囲気のお店で、札幌市中心部を南北に流れる創成川の東側「創成イースト地区」の新たな憩いの場に-と、期待が高まっています。

手作り定食 日替わりで 夜の居酒屋メニューにこだわりも 
KATOSHOTEN

KATOSHOTENの店頭
KATOSHOTENの店頭。手前では、コーヒースタンドも営業予定です

 生まれも育ちも創成イーストの加藤公彦さん(53)が8年前から昨年9月末まで、創成イースト地区で営んでいた「KATOSHOTEN」は、北海道新聞社新社屋で再スタートを切ります。昼は栄養バランスの良い日替わりの定食を、夜はお酒と北海道の季節の素材を活かした料理がそろい、明るく気兼ねない雰囲気で楽しめます。江別にあったサイロに使われていたレンガや札幌軟石など内装にも北海道の素材が使われ、どこか懐かしく落ち着くことのできる店内に、地域の人たちの明るい声が響きそうです。

「創成イーストの憩いの場に」と張り切る加藤さん
「創成イーストの憩いの場に」と張り切る加藤さん

 加藤さんの祖父母が1936年に創成イーストで創業した、みそやしょうゆを扱う加藤商店が、店の始まり。2代目の父母がコメや酒、日用雑貨を扱うようになり、1990年には店の半分ほどを改装して「赤ちょうちんのもっきり飲み屋」(加藤さん)を始めました。卵焼きやおでん、加藤さんの母手作りの煮物などをさかなに、「ちょっと1杯」とお酒を飲む人たちでにぎわいました。

 加藤さんはサラリーマンとして道内各地で営業活動をしていましたが、2017年に父母と弟が営んでいた店の近くに居酒屋の「KATOSHOTEN」を開業。以来、地域に住む人や近くで働く人たちでにぎわう人気店として続いてきました。

ランチの定食。この日の主菜はチキン南蛮
ランチの定食。この日の主菜はチキン南蛮

 店の一番の自慢は、「毎日変わる定食」。野菜や卵などは道内の契約農家から規格外のものなどを仕入れ、仕入れによってメニューを決めます。新店舗では、日替わりで主菜を3種類用意し、うち1品は魚料理です。副菜も日替わりで、毎日6~7種類そろえます。主菜1品と選べる副菜2品、ご飯とみそ汁、サラダ、漬物が付いて、900円台から。主菜の種類や選ぶ副菜の数で、料金が変わります。弁当も毎日3種類を700円台から販売します。

選べる副菜も日替わり。手作りの味です
選べる副菜も日替わり。手作りの味です
笑顔もさわやかな加藤さん
笑顔もさわやかな加藤さん

 おかずは手作り。主菜はしょうが焼きやハンバーグ、とり天、焼き魚、煮魚など、バリエーション豊か。副菜もきんぴらゴボウやポテトサラダ、ひじき煮など、家庭的でほっとする味です。ご飯は空知産の玄米3割、白米7割のブレンドで、体に良いことと、おいしさを両立させます。加藤さんは「家に帰ったら出てくるようなものを提供します。つまり、1番あなたのことを考えてくれている人が作ってくれるような料理です」と話します。旧店舗の時に弁当を買っていた常連客が「毎日食べても飽きない。私の体は加藤さんの弁当でできている」と言っていたというのもうなづけます。

串焼き(手前)などの居酒屋メニューが充実
串焼き(手前)などの居酒屋メニューが充実
アボカドの生ハム巻き(中央)や塩辛じゃがバター(右手前)
アボカドの生ハム巻き(中央)や塩辛じゃがバター(右手前)

 夜は和洋取り入れたメニューがラインナップ。豚や鶏、野菜などの串焼き(220円から)、揚げ出し豆腐(682円)、ザンギ(792円)、ラーメンサラダ(790円)など定番のメニューのほか、仕入れや季節によって、その日のおすすめメニューも登場します。加藤さんは「お酒に合う普通の居酒屋メニュー」と言いますが、サラダに使う葉物野菜は浦臼町の契約農家直送の水耕栽培のもの、塩辛じゃがバターには加藤さんが八雲町の水産加工会社に通って仕入れを許してもらったという塩辛を使うなど、こだわりが詰まっています。

季節によって仕入れが変わるお刺身
季節によって仕入れが変わるお刺身
締めのお茶漬けもあります
締めのお茶漬けもあります

 宴会コースは飲み放題付き5000円からとリーズナブル。お酒はビールやチューハイ、ハイボールなど一通りそろうほか、原点が酒店だけに、地酒を置き、季節によって「しぼりたて」や「夏酒」などもそろえます。創成イースト地区の酒店や飲食店でしか販売、提供していない日本酒「お東さん(おとうさん)」もボトル(500ミリリットル)で出します。酒造好適米「吟風」100%で、創成イーストで150年以上続く日本清酒が醸造。加藤さんが発案し、創成イーストのまちおこしに携わる20代の若者2人が販売を担当している「地域限定品」です。

江別にあったサイロに使われていたレンガを積み上げた柱
江別にあったサイロに使われていたレンガを積み上げた柱。飾り棚は旧店舗の壁材のエンジュ
札幌軟石を利用したカウンター
札幌軟石を利用したカウンター

 店の内装も、北海道の素材にこだわっています。店の中心部の壁は、江別にあったサイロに使われていた古いレンガを積み上げて仕上げ、そこには旧店舗の壁材に使っていたエンジュの木を活用した飾り棚を付けました。旧店舗にあった古木の一枚板のカウンターは一部をカットし、窓際の2人がけのカウンターの天板に使っています。旧店舗の内装にも使っていた札幌軟石もカウンターの台の部分などにあしらわれています。

 加藤さんが創成イースト地区にこだわるのは、生まれ育った地域だということのほか、店を始めてから、地域や人とのつながりが強まったことがあるといいます。「店を始めた時には特段、『地域』を意識したことはなかった」という加藤さんですが、営業を続け、地域の人たちとのきずなが深まるにつれ、町内会や学校行事、祭りなどの「地域の担い手」が少なくなっていることに気づきました。加藤さんは「ぼくたちが若いころは、先輩たちが半ば強制的にぼくらにいろいろなことを教えてくれた。ぼくたちが下の世代に伝えられていないから、若い世代が育っていないのではないか」と考えるようになったといいます。

明るく居心地の良い雰囲気の店内
明るく居心地の良い雰囲気の店内

 お東さんの販売を若者2人に託したのは、そんな思いがあるから。加藤さんは北海道神宮頓宮(南2条東3丁目)の例祭「頓宮まつり」で2023年から復活したみこし渡御のために地元住民らで結成した担ぎ手団体「神輿会頓宮」の副会長も務め、創成イーストの歴史と誇りを守るのにも一役買っています。

 そんな思いも胸に抱く加藤さんは「出会いがつながり、仲間が増えていく。創成イースト地区は、まちなかの田舎、まちなかの下町。店は、人とのきずなやつながりを大切にしながら、そんな人たちが集う場にしていきたい」としています。

 年末年始を除き無休。午前9時~午後11時。ランチ、弁当は午前11時~午後3時。ランチ前はコーヒースタンドが営業予定です。56席(来店状況で増やすことも可能)。禁煙。予約、問い合わせは電話 011・231・5987へ。

つまみとお酒「そば前」気軽に「十割」をきりっとしたつゆで 
蕎麦前 拍

蕎麦前 拍の店頭
蕎麦前 拍の店頭

 そばをたぐる前に、つまみとお酒を楽しむ「そば前」。まちの中心部に近いのに、どこか下町の風情が漂う創成イースト地区で、そば前の文化を気軽に楽しんでほしい-とするのが、「蕎麦前 拍」です。もりやかけが各800円から、お酒とそれに合う季節の素材を使ったつまみも昼から通しで注文できます。気取らない日常の食事を提供し、「創成イースト地区のまちの景色になりたい」と願っています。

「創成イーストのランドマークになりたい」と語る清水さん
「創成イーストのランドマークになりたい」と語る清水さん

 拍は創成イースト地区で自然派ワインの「stem(ステム)」(南2条東2丁目)と和食店「大友堀トーチ」(同)を運営するS&Sの新業態。代表取締役の清水奏太さん(43)は、大学生の時にイタリア料理のチェーン店でアルバイトをしたのをきっかけに、卒業後、飲食業界に就職。さまざまな業態の飲食店を運営する会社で新店立ち上げなどに携わったほか、個人経営の飲食店で料理の技術も学びました。その間に独立を決心し、2017年にステムを、22年には大友堀トーチをオープンしました。

 拍は清水さんにとって3店目。もともとそば好きだった清水さんは、「そば前」の文化を広めたいと、そば店の出店を決意しました。

飛騨ジャンボなめこそばと季節の炊き込みご飯のセット
飛騨ジャンボなめこそばと季節の炊き込みご飯のセット

 ソバは、上川町周辺産のものを使います。道内には黒松内や新得など著名なソバの産地が多くありますが、清水さんは「年間降雨量が少なく、品質が安定しており、黒っぽくなく白いそばに仕上がる上川町周辺のものを選びました。ソバの香りが高いのもぴったりでした」と話します。そば粉10割。細打ちですが、つゆがよく絡むように少し、乱切りにもします。

 だしは本枯れ節と宗田節、利尻昆布を独自の配合でブレンド。江戸前のきりっとしたつゆが自慢です。

彩りも美しい月見とろろ
彩りも美しい月見とろろ
えび天が豪華な天もりそば
えび天が豪華な天もりそば

 メニューは「もり」、「かけ」(各800円)、シイタケほどの大きさの岐阜県飛騨産の「ジャンボなめこそば(温、冷)」(1000円)、「月見とろろ(温、冷)」(1000円)、「鴨せいろ」(1600円)、「天もりそば」(1800円)など。「湯葉山椒卵とじ(温)」(1000円)や「たっぷり九条ネギと刻みきつね(温)」(1200円)など、季節限定のそばも出します。

 ほかに、小鉢と漬物、もりかかけが付いた「タレかつ丼」(1600円)や「天丼」(2000円)などの丼セットも用意します。

杯が進む一本たらこ磯部天ぷら
杯が進む一本たらこ磯部天ぷら
桜エビとクレソンのかき揚げ
桜エビとクレソンのかき揚げ

 蕎麦前は、「白レバ梅酒煮」(500円)や「牡蠣(かき)の山椒オイル漬け」(1200円)など左党が舌なめずりしそうなメニューがラインナップ。夜限定としては、鴨(かも)ハツ串焼き(500円)や「一本たらこ磯部天ぷら」(1200円)、「ラム水餃子梅酢ダレ」(950円)なども並びます。ほかに、季節限定で「桜エビとクレソンのかき揚げ」(900円)や「春菊と金柑、湯葉のサラダ」(950円)など、まだ寒い時期ながら、春の足音を感じさせる一品も用意しています。

コンビーフのポテサラ(中央)や牡蠣の山椒オイル漬け(右奥)、白レバ梅酒煮(右手前)、鴨ロース煮(左手前)、蕎麦味噌(左奥)を盛り合わせた蕎麦前5点盛り
コンビーフのポテサラ(中央)や牡蠣の山椒オイル漬け(右奥)、白レバ梅酒煮(右手前)、鴨ロース煮(左手前)、蕎麦味噌(左奥)を盛り合わせた蕎麦前5点盛り

 1人や少人数でつまむなら、これらの単品メニューの中から5品を盛り合わせた「蕎麦前5点盛り」(1800円)もおすすめです。つい「もう1杯」とお酒が進むこと間違いありません。

 食材は、仙鳳趾のカキや知内のニラ、帯広市の和田農園の和田ごぼう、愛別産マイタケなど、季節折々の道産食材も積極的に活用します。

 グループでの利用なら、締めには、そば4人前を1枚のせいろに盛り付けた「大せいろ」(2200円)がおすすめ。各自、もりのつゆ(150円)や月見(350円)、鴨(950円)など好みのつゆを別注文し、グループでシェアできます。締めにそばを食べたいけれど、1人前はちょっと多いという人にも重宝されそうです。

 ドリンクはビールやサワー、日本酒などをそろえます。ビールは生ビールのほか、鶴居村のクラフトビール「ブラッスリー・ノット」も提供。日本酒は創成イーストの酒蔵、日本清酒が創成イースト地区のみで販売する「お東さん(おとうさん)」や道内各地の地酒のほか、全国の銘酒も用意します。ワインはステムと同じ、ナチュールにこだわり、海外産のほか道内のワイナリーのものもラインナップします。

シックで落ち着いた雰囲気の店内
シックで落ち着いた雰囲気の店内
グループでも利用できる店内のテーブル席
グループでも利用できます

 内装はシックで落ち着いており、大人の雰囲気が漂います。特に8席あるカウンターはL字型にゆったりいすが配置されています。正面の棚は大正から昭和にかけ実際に使われていた和だんすを分解し、組み合わせたもの。レトロ感とスタイリッシュさが共存する空間になっています。

 創成イースト地区について、清水さんは「最初にステムをオープンさせる時に、地域を歩いていて、下町の風情を感じました。古い町工場やお寺、神社、市場、酒蔵など、人々の暮らしと産業、歴史が詰まっていて、ここだとピンときました」と振り返ります。

 「拍」という店名には、構えるのではなくちょっとした「拍子」に、「一拍」おいて、一息いれてほしいという願いを込めています。清水さんは「肉じゃがとか、日常の食卓に上る料理は家庭の料理が一番おいしい。拍もそんな日常の食を提供する場でありたい。気軽に来店でき、普段使いできる、創成イースト地区のランドマークになりたい」と話しています。

 日曜祝日、年末年始休み。午前11時半~午後3時、午後5時~10時。46席。禁煙。予約、問い合わせは電話 011・211・8577へ。

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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