
【上士幌】町ぬかびら源泉郷にある環境省と町の複合施設「ひがし大雪自然館」が収蔵庫を案内するバックヤードツアーが人気を集めている。10年以上前から毎年秋冬に行っており、動物の剝製や昆虫の標本などを間近で見学でき、年齢問わず好評だ。
「背中を優しくなでて毛の感触を確かめてみてください」。同施設の学芸員田中愛梨さん(27)はオオコノハズクの剝製を手に、そう促す。剝製は壊れやすいため一般の展示エリアでは原則触れないが、ツアーでは特別に触ることができるものもあるという。
ツアーは、普段一般の人が入れない収蔵庫や研究室を学芸員らが45分で案内する。収蔵庫にはエゾヒグマの骨格標本や、準絶滅危惧種オオタカの剝製、十勝石、昆虫の標本など、同施設の前身で1970年開館のひがし大雪博物館時代から集めた約9万8100点の資料を保管。このうち昆虫の標本は約4万8千点あり、ツアーでは参加者の好きな昆虫を聞いて見せている。
2013年に開始し、標本の劣化につながる害虫が発生する春から夏の期間を避けた11月から翌年3月まで毎月1回、第3日曜日に開催している。新型コロナウイルス流行時を除き、毎シーズン計30人以上の利用があり、多い時は90人近くにもなる。
収蔵庫の屋根裏に収蔵しているフクロウやコウモリ、キツネ、リスなどの剝製も約1メートルの距離まで近づいて観察できる。田中さんは「中には怖くて親の陰に隠れる子どももいますが、皆さん自分の好きな生き物に興味津々です」と笑う。
1回の定員は5人で、無料。予約が必須ではないが、定員を上回る参加も多いため、今シーズンからは予約優先としている。予約は同博物館、電話01564・4・2323(水曜定休)へ。 (杉崎萌)
(北海道新聞2025年2月13日掲載)