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2025.02.23

From北海道新聞

〈旬!を味わう〉全身トゲトゲ「幻」のイバラモエビ うまみぎゅっと*淡泊な甘み なめろうで

北海道新聞記事
北海道新聞記事
頭や腹がトゲトゲしているイバラモエビ
頭や腹がトゲトゲしているイバラモエビ

 檜山沖でエビかご漁が最盛期を迎えている。シマエビやボタンエビに交じって、時々水揚げされる「幻のエビ」がある。イバラモエビだ。全身トゲトゲの殻に包まれた身は甘く、うまみが詰まっている。地元では「ガサエビ」と呼ばれ、飲食店などで食べられる。この時季「限定の味」を堪能した。

 1月上旬の昼下がり、檜山管内江差町の江差港。沖から戻った漁船から、箱に詰められたエビが次々と水揚げされた。20箱ほどのほとんどが色鮮やかな赤いシマエビで、イバラモエビはたった1箱。エビかご漁を手がける若山水産代表の若山光男さん(73)は「全体の1~2割とれたら良い方だ」と話す。

江差港で水揚げされたイバラモエビ。出荷するまで水槽で管理する=1月7日
江差港で水揚げされたイバラモエビ。出荷するまで水槽で管理する=1月7日

 若山さんの漁場は江差町の9キロ沖合、水深250メートルほどにあり、800個のカゴを仕掛けている。今季は例年より早い昨年12月上旬に始めた。冬の日本海はしけが多く、イバラモエビ自体の漁獲量は毎年500キロもないという。

 そこで荷揚げ場の水槽に入れて生きたまま保管し、漁期の4月上旬まで需要に合わせて函館や東京・豊洲に順次出荷している。同町内の飲食店には急速冷凍したものを出し、各店は冷凍保存し、年間を通して提供できるようにしている。

 水揚げされたばかりのイバラモエビは、体が反り返るほど生きがよく、刺し身で食べると、さっぱりとした甘みが口に広がった。

 同町内の居酒屋レストランsatomiの店主、佐藤伸喜さん(60)に酒のあてにもなる食べ方を聞いた。

 淡泊な甘みを生かすならと、薦めてくれたのが「なめろう」。作り方はネギ、ショウガ、米みそをたたいてあえるだけ。殻をむく際に腹のトゲでけがをしやすいので、キッチンばさみであらかじめ切っておくと良い。身をたたかず、最後に入れることで風味が残り、薬味の辛みと調和する。日本酒が進むおいしさだ=末尾にレシピ

 同店ではなめろうや天ぷらなどを提供するが、「素焼き」でも香ばしく、ぼりぼりと食べられるという。頭の硬い殻だけを取って、油を引いたフライパンで焼くか、オーブンで260~270度で5分ほど焼く。残った部分でだしを取り、みそ汁にしてもおいしい。佐藤さんは「加熱することでうまみが増す」と太鼓判を押す。 (神田幸)

*江差、上ノ国*ふるさと納税 リピーターも

 イバラモエビは島根県から北海道にかけての日本海側に生息する。体長15センチ前後。市場にめったに流通しないが、檜山管内江差町や上ノ国町は「ふるさと納税」の返礼品にラインアップしている。

 数量限定ということもあり、江差町では例年、漁期前の9月ごろから予約を受け付けている。500グラム入りで本年度の寄付額は1万8千円。同町まちづくり推進課によると、寄付者はリピーターが目立ち、「今年はまだですか」といった問い合わせも多い。

 シマエビとセットの計1キロ入り「食べ比べセット」(同4万円)も好評で、2023年度は合わせて600万円以上の寄付があった。担当者は「漁の状況によっては希望に添えない場合もあるので、早めに申し込んでほしい」と呼び掛ける。

 佐藤さんの店にも時季になると札幌から毎年食べに訪れる人がいる。「ほどよい甘みで、食べ飽きしない味だからだろうね」と人気の理由を語る。(神田幸)

♢ ♢ ♢

■イバラモエビのなめろう

イバラモエビのなめろう

◇材料(2人分) イバラモエビ200グラム、長ネギの小口切り30グラム、おろしショウガ6グラム、米みそ20グラム
◇作り方
①エビは冷凍の場合、流水で解凍し、ざるなどで水気を切る。
②キッチンばさみで腹のトゲを切る。
③頭を取り、腹の殻をむく。しっぽも取る。
④ネギ、ショウガ、みそをまな板の上で合わせてたたく。ネギが細かくなったら全体をよく交ぜる。
⑤エビを小指の先ほどの大きさに切り、④と合わせてあえる。

(北海道新聞2025年2月21日掲載)

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