苫小牧市のグランドホテルニュー王子にあるレストラン「グランビュー」のシェフ早川智(あきら)さん(47)が、フランス料理の名誉称号「レ・ディシプル・ド・オーギュスト・エスコフィエ」を授与された。同市では同ホテルの元総料理長の古川智さんに続き2人目。学生時代にエスコフィエの料理本を読み込んだという早川さんは「エスコフィエは料理人としてのベース。正式な弟子に認められ感慨深い」と喜ぶ。
称号は、フランス料理を世界に広めたオーギュスト・エスコフィエ(1846~1935年)の弟子(ディシプル)を意味し、卓越した技術と経験を持つ料理人の証しとされる。日本エスコフィエ協会(東京)が毎年、審査基準を満たした会員に贈り、今年は計30人に授与した。
早川さんは山梨県出身。小学生の頃から親戚が営む食堂を手伝い、自然と料理人を目指した。東京の調理師専門学校を卒業後、長野県内のホテルへ。24歳で渡仏が決まっていたが腎臓を壊し断念。治療を続けながら同県内のホテルで15年ほど経験を積み、娘が苫小牧の中学校へ進学するのを機に2016年、ホテルニュー王子のシェフに就いた。
「お客さまの年齢や食事のスピードなどをチェックし、量や味を細かく調整する」のがこだわりで、リピート客も多い。受賞を機に後進育成への思いを強め、「料理人は幸せな時間を提供できる素晴らしい仕事。後輩たちには今後も、お客さまに常に感謝の心を持つよう伝えたい」と話す。(小林彩乃)
(北海道新聞2022年9月7日掲載)