帯広市中心部の屋台村「北の屋台」は19日から、鹿追町産のチョウザメを使った料理を提供する「蝶鮫祭(チョウザメフェア)」を始める。新たな特産化を目指す同町が販路拡大に乗り出したことから、初めて企画した。店主らはレシピ作りに取りかかっており、「十勝の新たな味覚を知ってほしい」と張り切っている。
北の屋台を運営する北の起業広場協同組合は、地場のチョウザメが新たな名物になるとみて、かねて注目していた。卵が高級食材のキャビアになることで知られる魚だが、ほどよく脂がのった白身も美味という。今回のフェアではキャビア用に引き合いの強い雌ではなく、雄を食材として活用する。
鹿追町は2014年度にバイオガスプラントの発電余剰熱を活用してチョウザメの養殖を始めた。寿命が長いため成長もゆっくりで、町が出荷の目安としている体長80センチ、重さ2・5キロになるまで6~8年かかるという。人工授精によるふ化の成功もあり、現在は約8千匹を飼育。年間100匹以上を出荷できるめどがついたとして、本年度から1キロ2500円で町外への本格販売も始めた。
フェアは10月1日までの約2週間。北の屋台の全20店と、近くの欧風料理店「アンナ・アンナ」が参加し、唐揚げや昆布締めなど、各店がオリジナルのメニューを提供する。今月1日には、試作用として町から3匹の提供を受け、店主らが集まってさばき方や味付けを研究した。北の屋台「創家」店主の森本正美さん(63)は「全国でもチョウザメを食べられる店はあまりないと思う。多くの人に興味を持って食べに来てもらえたらうれしい」と話す。(高橋澄恵)
(北海道新聞2022年9月8日掲載)