
帯広神社の大野清徳宮司(53)が自らデザインするお守りやおみくじなどの「授与品」が同神社で人気を集めている。雑誌や旅行ガイドなどで紹介され、授与品を目当てにした参拝客が全国から訪れている。

大野宮司は、若者の宗教離れが進んでいた20年ほど前、「伝統を守りながらも新しいことを始めないと、神社という文化自体が廃れてしまう」という危機感を持ち、自ら授与品のデザインを考案し始めた。
これまでに20種類以上を手がけ、発案や業者との調整など、製品として授与するまでの全てを一人で担う。特技であるデザインの技術を生かし、モチーフには十勝の名物や神社に飛来するシマエナガなど地元の魅力が伝わるものを選んでいる。
今年1月に発売した「鳥見御守(とりみまもり)」は野鳥観察や散歩中の安全を祈念する、他の神社にはない種類のお守りだ。神社の池にやってくるカモをあしらい「野鳥観察をして心安らかに過ごしてほしい」との思いを込めた。
大野宮司は2019年に「花手水(はなちょうず)」を道内の神社で初めて取り入れるなど、授与品の考案と並行して観光客を意識した取り組みの導入にも力を入れる。授与品と合わせて人気が定着し、参拝客は10年前と比べて約4倍に増えたといい、「神社には来てみないとわからない魅力が多くある。授与品をきっかけに、神社という文化に触れてもらいたい」と話す。(金本綾子)
(北海道新聞2025年3月18日掲載)