
【寿都】町樽岸町の国有林内にある、道内最大級とされるミズナラの木が倒壊の危機を迎えている。保全措置が難しいことから、林野庁は自然に倒れるのを見守る姿勢だ。見学ツアーを行ってきた地元関係者は「一人でも多くの人が、巨木の姿を目に焼き付けてくれれば」と願っている。
このミズナラは高さ約15メートル、周囲約6・9メートル。後志森林管理署黒松内事務所などの2006年の調べで、当時道内で最も幹の太い可能性が高いと確認された。樹齢800年以上と推定されている。
NPO法人寿都観光クラブは8日、見学ツアーを開いた。町内や札幌などから参加した計13人の参加者らはスノーシューを履いて国有林に入り、森林の中にそびえ立つミズナラにたどり着いた。
寿都町のパート従業員大串尚世さん(44)は「予想以上の大きさ。人間の悩みや喜びがとても小さなものに思える」と驚きの声を上げた。
だが、この巨大な木も24年3月ごろに太さ約70センチの枝が折れ、幹が空洞になっていることが分かった。日本樹木医会北海道支部の今田秀樹樹木医は、昨年9月に現地で状況を確認し「腐食がかなり進んでいるため、現代の技術では腐朽を食い止めるのは難しい」と説明する。
国有林を管理する後志森林管理署も「天然林として保全する区域なので、自然の推移に任せるのが妥当と判断した」。
ミズナラの見学ツアーで案内人を務める「黒松内ぶなの森自然学校」の高木晴光校長(70)は「そう簡単には出合えない貴重な木。今の姿をぜひ見てほしい」と語る。ミズナラや見学についての問い合わせは同校、電話0136・77・2012へ。(佐々木遼)
(北海道新聞 2025年3月18日掲載)