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2025.04.03

From北海道新聞

おでんと人情 温めた79年*ススキノで3代「河庄」閉店

北海道新聞記事
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閉店の節目を前に「大変な時期もあったけど、お客に恵まれた」と語る岡本久美子さん(右端)。カウンター内は岡野紀子さん=12日
閉店の節目を前に「大変な時期もあったけど、お客に恵まれた」と語る岡本久美子さん(右端)。カウンター内は岡野紀子さん=12日

 終戦の翌年に札幌・ススキノで開店し、おでんが名物の「和風酒庵 河庄」(中央区南5西5、すすきの5・5ビル3階)が2025年3月21日に閉店した。17歳で店を手伝い始めた2代目の岡本久美子さん(88)は健在で、3代目の岡野紀子さん(45)と一緒に店を守ってきた。79年の歴史の中では火事にも遭ったが、温かなおでんと、もてなしの心は最後まで変わらない。

 久美子さんの父鍵谷文雄さんが1946年6月、銀行員から転職し、南7西5で開店した。「父は小唄、母清枝は三味線と、共に芸事好き。高じて店を出し、夫婦で続けてきた」と明かす。店名は近松門左衛門作の人形浄瑠璃「心中天網島」に出てくる茶屋に由来する。

■火事乗り越え

鎮火後に店から持ち出した最初の店舗写真。今もカウンターの上に飾っている
鎮火後に店から持ち出した最初の店舗写真。今もカウンターの上に飾っている

 鍵谷さんは63年に死去。久美子さんの兄で小唄や三味線の名取だった暢男(のぶお)さんが手伝う時期を挟み、久美子さんが子ども3人を育てながら切り盛りした。平成に入り、夫光司さんも営んでいたゴルフ用品店を畳み、河庄を二人三脚で続けてきた。

 2009年に南7西4のプリンス会館地下に移転。同会館は14年11月、地上部分を全焼する。おでんのたれや創業時の店の写真は持ち出せたが、食器や鍋を失った。「主人も私も年を取っており再開は難しい」と感じたが「親が開いた店。できれば続けたい」との思いも。常連客の激励も背を押し、1カ月半後の年末に現在地で再開した。

■常連が店主に

 広さは前の店の半分になったが、老夫婦が酔客を相手にするにはちょうどよかった。5年前、常連の岡野さんが3代目店主に。久美子さんが約20年前にがんを患った際、店を手伝った気心知れた人だった。

 おでんの牛筋とニシンの鎌倉焼きは久美子さんが自宅で作り、ほかは岡野さんが調理する。おでんだしを使う「和風出汁(だし)カレー」は「みんな締めに注文する」と岡野さん。

 閉店は岡野さんが結婚を機に市外へ移るのが理由。久美子さんは「紀子さんが幸せになるなら」と語る。30年以上通う元UHBアナウンサー伊藤治明さん(73)は「秋から冬に出るタチ(タラの白子)のムニエルが絶品。ママだけでなく、ほかのお客に会いたいと思える店だった」と惜しむ。

 「79年間、お客に恵まれた」と久美子さん。光司さんは脳梗塞を患い、22年4月に89歳で他界。閉店で、さらに張り合いを失うのではと心配の声が寄せられているが、久美子さんは「健康マージャンでも始めようかな」と笑う。  問い合わせは河庄、電話011・512・0919へ。(鈴木雅人)

(北海道新聞2025年3月15日掲載)

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