
【平取】日高山脈襟裳十勝国立公園にある日高山脈の最高峰幌尻岳(2052メートル)の名を冠したクラフトジン「ポロシリ」が完成し、町内の一部で先行発売された。アイヌ民族の有用植物を風味付けに使い、購入者からは「攻めた味」と好評だ。商品化したびらとり観光協会は「日高最高峰のごとく最高の特産品に育てたい」とし、全国の左党に向けてネット販売も始める計画だ。
クラフトジンは、作り手がボタニカル(味や香り付けをするための素材)にこだわって製造する独自のジン。「ポロシリ」はアイヌ民族が暮らしで利用してきたキハダ、ヨモギ、ギョウジャニンニクを使用した。
さらに、道内屈指の生産量を誇るトマトも素材に生かし、平取自慢の雄峰とともに豊かな歴史、基幹産業のPRを狙った。
地域総合整備財団の補助金を活用し、後志管内積丹町の蒸留所、積丹スピリットが製造。1日から、平取町内の「びらとり温泉ゆから」で発売した。
購入者からは「ギョウジャニンニクなどのスパイス感が広がる攻めた味が良い」と好評。ゆからの山田隆支配人(53)は「切れ味が最高。平取名物の和牛の料理とも相性が良い」といい、今後、このジンを使ったカクテルをレストランで提供することも検討している。
アイヌ伝説も残る幌尻岳の尾根を表現するなどラベルのデザインも工夫した。観光協会は国立公園誕生1周年を迎える今夏に合わせて、ネット販売を始められるよう手続きを進めている。担当者の斉藤忍さん(59)は「目指したのは、脈々と続く大地の物語が感じられる酒造り。平取の歴史の香りに酔ってほしい」とPRする。
価格は、100ミリリットル2800円、500ミリリットル6800円。問い合わせは観光協会、電話01457・3・7703へ。(酒井聡平)
(北海道新聞2025年3月20日掲載)