
四季を通じて札幌市民や観光客に親しまれている円山公園。隣接する北海道神宮や円山動物園、天然記念物に指定されている円山原始林、円山球場などとともに、散策やスポーツ、憩いの場として愛されており、特に春、桜の季節には花見をする人たちでにぎわいます。桜を眺めて春を感じながら、おいしいものを味わえば、心も体も大満足。円山公園周辺で入手できるテイクアウトグルメを紹介します。

ついこの間まで、分厚いコートに身をくるんでいたのに、ポカポカ陽気に包まれるともう冷たいスイーツが恋しくなってきます。そんな時は、地下鉄円山公園駅から歩いて10分ちょっとの「ジェラテリア クレメリーチェ」へ。札幌と近郊産の低温殺菌牛乳をベースにした、素材の味を生かしたジェラートやソルベが並んでいます。

店内の冷凍ケースには、常時16種類のジェラートやソルベをそろえています。一番の特徴は、素材へのこだわり。札幌と近郊産の低温殺菌牛乳を使い、フレッシュさとミルク感を大切にしています。甘さは控えめ。牛乳本来のほんのりとした甘さやクリーミーさを残しつつ、くどくないので、後味さっぱり、食べた後ものどが乾きません。

国産フルーツが少ないこの時期は、カラフルなのは「みかんソルベ」くらい。「栗」や「洋梨ソルベ」「さつまいも」「リンゴソルベ」などもありますが、どれも着色料や香料は使わず、素材の味や香りを生かしているため、極端な赤や黄色ではなく自然で柔らかな色合いです。この時期限定で販売する「さくら」も、サクラの花と葉の塩漬けを使っており、花びらの淡い色と葉のツブツブが見えるだけ。ピンク色というより、白っぽいベージュという印象ですが、サクラの香りや春の気配を感じることができます。
フルーツは、イチゴやプラム、サクランボ、メロン、スイカなど季節に応じて、完熟のものを農家から直接仕入れます。代表の彫谷徳一さんは「市場に出回っているフルーツは、未熟のものを収穫しているので、味がのっていない。完熟は流通には向きませんが、しっかりと果実の味が感じられます」と話します。

ソルベというと、シャリシャリとしたかき氷のような食感を想像する人も多いかもしれませんが、同店のものは、驚くほどクリーミー。そのなめらかな中に、細かくカットされたリンゴの皮や砕いたナッツなどが入り、食感を楽しめます。同店では、ナッツも店でローストし、炒りたてを使います。彫谷さんは「ナッツペーストを使うところも多くありますが、味や香ばしさが全然違います」とこだわりをみせます。

彫谷さんはスープカレーの専門誌の制作に携わった後、「北海道にはソフトクリームの店はたくさんあるが、ジェラートは少ない。果物の生産者がつくる郊外店はあるが、市街地にはあまりない」と考え、ジェラート店の出店を決意。本場のイタリアに渡り、ミラノやフィレンツェ、ベネチアなど各地のジェラートを食べ歩きました。その後、栃木県の農家直営のジェラート店「伊沢いちご園」の味にほれ込み、半年間修行。2016年にこの店をオープンさせました。
店名はジェラート店を意味するイタリア語の「クレメリア」と「こだわり」や「追求を意味する「リチェルカ」を掛け合わせた造語だそう。

出店に当たって、スープカレー店の取材をした経験から、「簡単に作ろうと思えばできるが、生き残るにはきちんとしたものを提供しなくてはならない。はやりに飛びつかず、良いものを自分の手でつくって提供すれば、受け入れられる」と考えたそう。おいしい完熟の果物とフレッシュで上質な牛乳にこだわる原点はここ。ふるさとの余市町の果物を使ったジェラートは、同町のふるさと納税返礼品にも採用されているほか、道外の物産展などにも出店するなど、札幌のみならず全国にファンが広がっています。
ジェラートはピッコロ(1種)が430円、デュオ(2種)が520円、トリオ(3種)が570円。小学生以下限定の小サイズのバンビは300円です。ピスタチオやくるみなどの「プレミアムフレーバー」が1種類入ると、デュオ650円、トリオ620円。コーンは50円増し。テイクアウトして、サクラを眺めながら食べるもよし、店内にあるイートインスペースで散策で疲れた足を休ませながら味わうもよし。エスプレッソやカフェラテなどドリンクも販売しているので、休憩にもぴったりです。
ジェラテリア クレメリーチェ |
住所/札幌市中央区南7条西25丁目3-1 |
電話/011-200-9992 |
営業時間/午前11時~午後9時 |
定休日/木曜。祝日の場合は営業 |
たばこ/禁煙 |