【蘭越、俱知安】羊蹄山麓農家グループ「ニセコフルーツトマト俱楽部」(椿新二代表)が、塩水を与えて糖度を高める塩トマトの販路を拡大している。これまでは道外への出荷が中心だったが、今季は道内のコンビニエンスストアでも扱われたほか、俱知安町の飲食店ではかき氷の材料に使われ、評判を集めている。
同グループは、蘭越や俱知安など4町村の6戸で組織。塩トマトは2011年に生産を始め、試験栽培を繰り返した上で病害虫に強く糖度の乗りやすい品種を選び、皮を柔らかく育てる技術も確立した。5年ほど前から毎年、グループで3万株を作付けしている。
市場では一般的なトマトの3~4倍の1キロ1500円の高値が付くこともあり、主に関東圏の大手スーパーなどで販売されていた。椿代表は「地元でも多くの人に味わってほしい」と、道内での販路拡大を模索していたところ、取引先の札幌市内の仲卸業者に紹介され、今年7月末から道内のセブン―イレブンの一部店舗で初めて販売することになった。
一方、後志管内の果物や野菜を生かしたかき氷で知られる俱知安町の飲食店「Cafe909」(北1西2)は7月から、塩トマトのソースをかけたかき氷を発売し、爽やかな甘みとコクが評判を呼んでいる。
新鮮さを味わってもらうため、注文後にソースを作り、湯むきした果肉をトッピングする。1個900円で、オーナーの小山俊徳さん(28)は「おいしい素材をよりおいしく加工し、地元食材の良さを広く伝えたい」と話す。
塩トマトの今季の収穫は9月末ごろまで。セブン―イレブンでの取り扱いもかき氷の販売も月内には終わる予定だ。椿代表は「道内で塩トマトの認知度が高まってきているのでは。新型コロナウイルス収束後には札幌でのPR活動も再開し、生産量が増えても高い値が付くよう販路を広げたい」と意欲を見せている。(加藤遥花)
(北海道新聞2022年9月14日掲載)