
道内外の日本酒が集結する「第9回狸二条酒まつり」(実行委主催)が4月25日(金)、創成川公園狸二条広場(札幌市中央区南3条東1丁目)で始まりました。5月1日(木)までの第1幕は全国の日本酒50銘柄、5月2日(金)から11日(日)までの第2幕では道内の14蔵の日本酒50銘柄が並びます。日本酒に合わせたフードの出店もあり、今季初の「外飲み」イベントを楽しむことができます。
実行委の取材で、今年で9回目の開催。第1幕は長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県を除く43都道府県の50蔵の各1銘柄、計50銘柄がそろいます。1杯(30ミリ)200円か300円のものを1000円分組み合わせた「飲み比べセット」か、もっきり(120ミリリットル、600円か800円)、銚子1本(150ミリリットル、800円か1000円)で購入できます。

せっかくの日本酒イベントですが、午前中に円山公園・北海道神宮の桜開花情報の取材で歩き回ってのどが乾いており、とりあえずビールで乾杯します。

おつまみを探索したところ、「あづま成吉思汗本舗」で珍しい「おでんの羊肉盛り合わせ」(1200円)を見つけました。羊肉のスライスとつくね、大根、こんにゃく、ちくわ、ソーセージが入っており、適度な羊肉の〝臭み〟を残しつつ、さっぱりとした味わい。肉はしっとり軟らかく、だしには羊肉の香りが溶け込んではいるものの、羊肉が苦手な人にもすんなり食べられそう。

「大厚岸」の「蒸し牡蠣」(1個550円)は身がぷりっとして、さすが安定の厚岸産ブランドカキ「マルえもん」という味わいです。せたな町産の海産物を主に扱う「せたな食堂」では、「青つぶ焼き」(700円)を入手。貝から身をグルン、と取り出すのも楽しい。ちょっと甘めのタレで貝の味と食感を生かして炊き上げられ、ツブならではの食感と磯の香りがおいしい一品です。ランチがてら、これらのおつまみでビールは瞬殺です。


次は、本丸の日本酒に移行です。第1幕は全国各地の日本酒がそろうのが魅力ですが、隠れた目玉は道内蔵本の数量限定の逸品を集めた「春の生酒まつり」。この日は道内6蔵の7種類がありました。その中から、2つを選び、味わってみました。三千櫻酒造の「三千櫻純米吟醸きたしずく55(直汲み生)」(120ミリ、800円)は香りはやや甘めですが、一口目にかすかな酸味があり、すっきりと上品な印象。二世古酒造の「二世古たれくち生原酒」(120ミリ、900円)は原酒らしい、しっかりとした骨格で、うまみとパンチのある味わいです。

これに合わせる春らしいおつまみを探してみました。天ぷらがおいしい「雨のち晴れ」で、春の味覚「行者にんにく天ぷら」(800円)を見つけました。広尾町で自社栽培しているギョウジャニンニクを使っているそう。「これから揚げるので、1分ほどお待ちください」と言われ、揚げたてを受け取ると、20センチ超えの大ぶりの行者ニンニクが4本。これから帰社して原稿を書くのに、同僚に申し訳ない…と思いつつ、遠慮なくいただきます。葉も根本も軟らかく、葉先はサクサク、根本も筋もなくシャキッとしており、香りもしっかり。ちょっとくせのある生酒にはぴったりです。

次は、全国43都道府県の50蔵が自慢の1品、計50銘柄がそろう飲み比べに挑戦です。飲み比べは1000円。1杯30ミリで200円の25銘柄、同300円の25銘柄から合わせて1000円になるように選んで、飲み比べができます。編集部2人で訪れたので、飲み比べセットを2つ注文。200円の銘柄から4種、300円から4種、計8種類を選んで、すべてを試飲してみました。

200円のコーナーの、日本清酒(札幌)の「千歳鶴にごり酒百宝」は文字通り白濁。香り豊かでうまみがありますが、辛口ですっきり。大七酒造(福島県)の「大七生酛純米古酒不倒翁」は黄色みがかっており、ちょっとくせはあるものの、うまみがたっぷりです。菊姫(石川県)の「菊姫山廃純米」はやや酸味がありますが、日本酒らしい、山廃ブームの先駆けとなった米のうまみたっぷりのお酒です。渡辺酒道場(岐阜県)の「飛騨のどぶ」は見るからに白濁した濁り酒。飲むヨーグルトのような舌触りで、一口目は甘くなめらかですが、後味はすっきり、辛めです。

300円コーナーの五十嵐酒造(埼玉県)の「天覧山大吟醸」はフルーティーな香りですが、さっぱりとしていて、飲み飽きしない味。山梨銘醸(山梨県)の「七賢スパークリング山ノ霞」はやや濁った見た目のスパークリング。まろやかな酸味があり、フルーティーな飲みやすい味わいです。藤居本家(滋賀県)の「旭日黒渡特別純米原酒」は原酒好きのスタッフの好みで選びましたが、くせがなく、でもうまみと飲み応えがありました。九州で唯一、日本酒乾杯条例のある佐賀県の瀬頭酒造の「東長純米吟醸」は、香りが華やかでうまみもあり、素直な日本酒らしい味わいでした。
これらの50銘柄の日本酒はもっきり(120ミリ)600円と800円、お銚子(180ミリ)800円と1000円でも提供しているので、飲み比べで気に入った銘柄があれば、追加して頼むのも良さそうです。


本格的に日本酒に切り替えてから、席も桜とさっぽろテレビ塔をのぞむ特等席に移動してみました。この日の昼は、あいにくの雨。小雨になったり、強くたたきつけるように降ったりと、不安定な天気です。それでも、飲食ブースは屋根付きのテントの下にテーブルといすが設置されているので、多少の荒天はしのぐことができます。晴れていれば、創成川に面したテラス席もあり、川辺で咲く桜と札幌テレビ塔を眼のつまみに、最高の昼飲み席になりそうです。


さらに、「酒ガラポン」にも挑戦しました。1回600円でガラポンを回し、赤玉が出ると四合びん1本、緑玉で120ミリリットル3杯、黄色玉で2杯、白玉で1杯が提供されます。すべて道産の日本酒です。希少な日本酒もあり、白玉でもお得感はありそう。さっそく挑戦。えい、っとガラポンを回しましたが、残念、白玉。12種類の中から、小林酒造の「ふしこ」をお願いしました。ふしこは愛別町産の「吟風」でつくられ、口に含むと優しい香りが広がり、米のうまみたっぷりの日本酒でした。
おつまみには、「大磯」の「イカ焼き」(900円)をチョイス。胴だけで全長20センチ以上の立派なイカを焼きたてで提供しており、マヨネーズと一味を付けて食べます。身も厚くて柔らかく、日本酒のお供には間違いありません。
ほかに、フードは「呑ん兵衛天国ラスベガス」、ピザ店の「CIRCO」、「丘珠ホルモン」が出店しています。5月1日までの「大磯」に代わり、5月2日からは「二条市場」も登場します。
また、日本酒は5月1日(木)までは全国の50銘柄を提供し、5月2日(金)から5月11日(日)までは第2幕として、道内14蔵の50銘柄にチェンジします。平日は正午~午後8時、土日祝日は午前11時~午後8時。開催中の問い合わせは、実行委事務局の電話080-9444-2438へ。