
ホタテは北海道で取れる貝類の代表格で、全国の漁獲量のほとんどを北海道が占める。通年で出回るが、春先は産卵期のため卵巣や精巣が大きく発達し、コクのある味わいが特徴だ。札幌市中央区の日本料理店「料理たいち」店主の石田太一郎さん(61)においしい食べ方を教えてもらった。
石田さんは専門的な修業はしたことはないが、料理好きが高じて1999年2月、札幌・ススキノに居酒屋を開店。2012年11月に現在地に移転し、道内など食材の産地にこだわった日本料理を提供している。
ホタテを丸ごと味わえるこの時期ならではの料理が「ホタテバターご飯」だ=末尾にレシピ。ススキノ時代に人気だったメニューで、殻も鍋代わりに使う。「身を外したばかりの殻を使うのが一番のポイントかも。なぜか分からないが洗った後一度乾かすと味がなじまない」という。卵巣や精巣からも味が出る上、ホタテとしょうゆ、バターが相性が良く、最後に振る黒コショウが生臭さを消し、好みでレモン汁を振ればよりさっぱりとする。
「ホタテとアスパラの温かいおひたし」は、同じく旬の食材のアスパラを組み合わせた。ホタテは半生でしっとりとした味わいで、吸い物とおひたしの中間のようなイメージだ。「ホタテをゆでる」「アスパラをゆでる」「だし汁を作る」の3工程を別々の鍋で行うと「澄んだ、専門店の味になる」という。(佐藤仁)
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「料理たいち」は札幌市中央区北1西7EXYビル1階。午後5時半~9時半ラストオーダー。日曜祝日定休。電話011・796・2161。
■ホタテバターご飯

◇材料(1人分) 刺し身用殻付きホタテ1枚、ご飯茶わん1/3程度、酒適量、バター5グラム、刻んだ万能ネギ1つまみ、しょうゆ、黒コショウ各少々
◇作り方
①ホタテは貝柱、ひも、卵巣や精巣を殻から外し、塩水で洗ってぬめりを取る。それぞれ食べやすい大きさに切る。
②殻も洗い、酒をひたひたに注ぎ火に掛ける。
③沸騰したら卵巣や精巣、ひもを入れ、10分ほど煮る。
④貝柱も加え、表面が白っぽくなったらご飯を入れて交ぜる。
⑤バターの半量を入れて交ぜ、なじんだらしょうゆで味を調える。
⑥残りのバターを載せて万能ネギを散らし、黒コショウを振る。
■ホタテとアスパラの温かいおひたし

◇材料(1人分) 刺し身用ホタテ貝柱1個、アスパラ1~2本、だし汁70~80cc、みりん小さじ1/2、塩、しょうゆ、酒各少々
◇作り方
①昆布とかつお節でだしを取り、みりん、塩、しょうゆで味を調える。
②アスパラは皮をむき、わんに入るぐらいの長さに切る。
③鍋に水と塩一つまみ、風味付けにアスパラの皮を入れ火に掛ける。沸騰したらアスパラを入れて1~2分、少しかためにゆでて、ざるに上げる。
④鍋に水、塩と酒各少々を入れて沸騰したら火を止め、30秒~1分程度、貝柱をまるごと沈める。
⑤わんに④の貝柱と③のアスパラを盛り、①をかける。
(北海道新聞2025年4月28日掲載)