北海道 食と観光のWEBメディア

Language

Language

北海道観光情報サイトトリップイート北海道

テーマから探す

キーワードから探す

2025.05.14

「ライラックワインガーデン2025」開幕~ペアリングが充実、フードも楽しんで 北海道産ワイン200種類以上が勢ぞろい 5/25まで、札幌・大通公園西7丁目で

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

初夏の訪れを感じる大通公園で乾杯!

 札幌に初夏の訪れを告げるイベント「さっぽろライラックまつり」が5月14日(水)、札幌市中央区の大通公園で開幕しました。西7丁目会場では「ライラックワインガーデン2025」が開かれており、25日(日)までの期間中、北海道内の50社以上のワイナリーやヴィンヤードから計200種類以上のワインが提供されます。今年はワインと食とのペアリングを強化し、フードも充実。ワイン通でもワイン初心者でも楽しむことができ、初日からさっそく、多くの市民や観光客でにぎわいました。

ペアリングを楽しむ新コーナー登場

フードコーナーには行列もでき、大賑わい

 札幌市などでつくる実行委の主催で、北海道産のワインを集めた屋外イベントとしては道内最大級。北海道産ワインの販売カウンターにはソムリエ資格を持つワインガイドが常駐し、ワインをグラスやボトルで注文できるほか、グラスワイン3杯が付いた飲み比べセット3種類も販売。会場の東西に2カ所設けられた「北海道ワイナリーヴィレッジ」にはワイナリーやヴィンヤードの関係者が日替わりでそれぞれの銘柄のワインを提供します。

ソムリエ監修のフードを提供する初登場のペアリングキッチン

 今年のワインガーデンの大きな特徴の1つがペアリングを重視し、食を充実させたこと。初登場の「ペアリングキッチン」には、数日おきに北海道内の飲食店1店が出店し、ソムリエが監修したワインに合うフードを提供します。この日は、「常春(とこはる)」(札幌市中央区南3西8)が赤ワインに合わせた「道産牛ホホ肉のワイン煮込み」(2000円)や白ワインにぴったりの「たっぷりチーズを削りかけたアスパラのボッリート」(1350円)などを用意していました。常春は16日(金)までの3日間です。

人気飲食店のシェフが考案したデリを販売するデリマルシェ

 こちらも新企画の「デリマルシェ」は、札幌市内の人気の飲食店のシェフが考案したワインに合うデリを販売しています。「スペイン料理ボケリア」とイタリアンの「EST EST EST」、フレンチの「TATEOKA TAKESHI」、蕎麦とワイン「関」、中華の「月下翁」がそれぞれ3品ずつを用意しています。

飲み比べセットで乾杯!ワインとフードを楽しむ

この日の飲み比べセットAと、時計回りにガリシアパイ、ペアリングセット、さつまいものフリット

 一通り会場を巡った後、さっそくワインとフードのペアリングを楽しんでみました。まずは、飲み比べ3種類の中から「Aセット」(1500円)を選びます。NIKI Hills Winery(仁木町)の白「バッカス」と平川ワイナリー(余市町)のロゼ「スゴンヴァン」、北海道ワイン(小樽市)の赤「北海道ツヴァイゲルト」のセットです。ほかに、1800円と2000円のセットがあり、内容は毎日変わります。

 フードは、ペアリングキッチンの「常春」の前菜3種のペアリングセット(2000円)と、デリマルシェに出ていた「ボケリア」のガリシアパイ(800円)、フードコーナーに出店していた「食堂おうぎ」の「金のさつまいもフリット」(800円)をチョイス。

手前から時計回りにプロシュートコット、ハツのコンフィ、マンテカート
松の実とレーズンがたっぷり入ったガリシアパイ

 前菜3種は、赤に合う「北海道産鶏ハツのコンフィ」と「石狩産望来豚ロースのプロシュートコット」、白に合う「北海道産真鱈のマンテカート」の盛り合わせ。ハツのコンフィは弾力のあるむっちりとした食感で、臭みはゼロ。ゆっくり丁寧に火入れされたことが感じられ、ジューシーです。プロシュートコットはしっとりしており、塩味は控えめ。脂もありますが、赤身のうまみが勝り、確かに赤ワイン向けです。マンテカートはなめらかで、優しい塩味がさっぱりした白ワインに寄り添います。

 ガリシアパイも石狩産望来豚を使っており、ごろごろと粗めの豚肉のパテの中に松の実とレーズンがたっぷり。肉のむっちり感と、松の実の香ばしさ、レーズンの食感や控えめの酸味がぴったりで、添えられた青トウガラシのピクルスの酸味と辛み、かすかな苦みが口の中をさっぱりさせてくれます。赤はもちろん、白やロゼも合わせやすそうです。

シナモンの香りがワインに合うさつまいものフリット
赤ワインやロゼとのペアリングを楽しみます

 さつまいものフリットは、実はワインガイドのチームリーダーで、NPO法人北海道ワインクラスター(小樽)代表の阿部真久さんのお薦め。阿部さんは「サツマイモのフリットやデザートなど、普段はワインと一緒に食べないものも、実はペアリングでよりおいしくなることがあります」と説明します。

 一般的にはスイーツにはデザートワインなどの甘口のワインやロゼを合わせるのがいいそうですが、さつまいものフリットには赤ワインを推奨。食べてみると、フリットには砂糖とハチミツ、シナモンパウダーがかかっていて、シナモンの香りが赤に合います。もっと重めの渋い赤でも良さそうです。細くカリッとした部分と、太めのホクッとしたところと2つの食感があるのも楽しく、ジャガイモのフライドポテトとはまた違ったおいしさがあります。

「毎日来ても飽きさせません」と話す阿部さん

 ワイン販売カウンターにいたワインガイドチームリーダーの阿部さんに、ワインガーデンの楽しみ方を聞いてみました。阿部さんは「ワインセットの内容を毎日変えるなど、毎日来ても飽きさせない工夫をしています。同じフードでもワインとの組み合わせで新たなおいしさを見つけられますよ」と話します。

 フードを販売する各店の店頭には、阿部さんが監修したペアリングの提案が掲示されています。これを参考に、飲みたいワインに合わせたフードを探したり、逆に食べたいものにぴったりのワインを求めるのも楽しそうです。

 阿部さんは「ワインガーデンは市民にも、観光客にも浸透してきているのを感じます。今年は食とのペアリングを強化しました。イタリアンやフレンチなどワインの定番フードだけでなく、ジンギスカンや殻付きホタテなど北海道の郷土料理とワインを合わせるなどの楽しみ方もでる」と提案します。

生産者との交流も楽しみ~北海道ワイナリーヴィレッジ

「Hasedonnay2023」(左)と「Rock garden2023礫」
「Hase-Don2024」(左)と「Line2023線」

 ワインガーデンの楽しみのひとつが、生産者との出会いや交流です。ワイナリーヴィレッジには日替わりで1日に最大8ワイナリー・ヴィンヤードが来場し、自社のワインをグラスやボトルで販売します。この日は、7つのワイナリー、ヴィンヤードが参加していました。

 「HASEGAWA Vineyard(ハセガワヴィンヤード)」(余市町)は、自社のシャルドネとリースニングをドメーヌ・モン(余市町)とさっぽろ藤野ワイナリー(札幌市)に委託醸造した白の4銘柄を出品。同じ年に同じ畑でとれたシャルドネを使ったモンの「Hasedonnay2023」(60ミリ1100円)と藤野の「Pock garden2023礫」(700円)、ヴィンテージは違うものの、同じ畑のシャルドネを使ったモンの「Hase-Don2024」(同800円)と藤野の「Line2023線」(700円)を飲み比べることができます。長谷川弘樹さんは「ブドウは、23年は鳥の食害がひどかったが、24年は糖度と酸のバランスがばっちりで、最高のでき」と話します。

 同じ畑のブドウを使っていても、香りや酸、口当たり、味わいが全然違うのが分かります。原料が同じで、ワイナリーの個性を比較できるチャンスはそうそうありません。

明るく、ノリよく、ワインやブドウについて熱く語る長谷川さん

 岡山県出身の長谷川さんは農機具会社の営業職を経験した後、ルスツリゾートでスノーボードのインストラクターをしていた時にドメーヌ・モンの山中敦生さんと知り合い、誘われて余市町で就農。今年10年目を迎えます。エスコンフィールドとほぼ同じ4.2ヘクタールの畑のうち、約7割は契約栽培でココ・ファーム・ワイナリー(栃木県)に出荷し、残り3割でリースニングやシャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、ナイアガラなどをつくっています。

「過去最高のグレートヴィンテージ」のナイアガラを手に笑顔を見せる影山さん

 「TAKIZAWA WINERY(タキザワワイナリー)」は「ナイアガラ・スパーク・サンスフル2024」(700円)と「ケルナー2023」(1000円)の2銘柄を持参。ナイアガラは亜硫酸塩を使わず、アルコールは8%で甘さを抑えたきりっとした辛口。代表取締役の影山航大さんは「24年は過去最高のグレートヴィンテージ。糖度がありながら酸も残っている。つくり手にとっては、夏に畑仕事をした後にゴクゴク飲めるビールのようなワイン」と太鼓判を押します。ケルナーは余市町の中井観光農園のブドウを醸造したもので、影山さんは「23年は酷暑で北海道産ならではの酸が下がったので、木樽で熟成させ、コクや果実感を感じられるように仕上げました」と説明します。

ライラックも早咲きのものが開花し、周囲にさわやかな香りが広がっています


 タキザワワイナリーのワインの原料は主に、①余市町農協から仕入れるナイアガラやデラウェア、旅路②契約農家が生産したケルナーやミュラートゥルガウ、シャルドネ③自社農園で栽培したピノノワールやソーヴィニヨンブラン、シャルドネ-の3種類。自社ブドウ以外の「買いブドウ」でつくるワインは、比較的気軽に味わうことのできるよう、醸造の翌年などにリリースしますが、自社農園で栽培したブドウを使ったトップキュヴェは「寝かせて味と香りがのってから楽しんでほしい」と、すぐにはリリースせず、タキザワワイナリーで保管、熟成させることにしたそうです。
 できが良かった2020年のブドウで醸造したワインから保管を始め、長期熟成シリーズ「リザーヴ2020」として、今年からリリースしています。影山さんは「トップキュヴェは5年は手元に置いて、熟成させて出したい」としており、熟成シリーズでTAKIZAWAファンがさらに増えそうです。

 ライラックワインガーデンは5月25日(日)までの午前10時から午後9時まで(ラストオーダー8時半)。

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

トリップイート北海道

北海道新聞社が運営する、食と観光に特化したWEBメディアです。 北海道には、四季折々の美しい自然と多彩なアクティビティー、新鮮な食材、地域自慢の料理と酒があります。そんな魅力たっぷりな北海道の楽しくて、おいしくて、なるほど!な情報を、担い手たちの情熱と共に発信します。

当サイトを英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、タイ語に翻訳することができます(一部のリンク先ページを除く)。翻訳は機械的に行われるため正確に翻訳されない場合があります。十分ご理解のうえご利用ください。

お問合わせ

株式会社 北海道新聞社
〒060-8711 北海道札幌市中央区大通東4丁目1

食と観光

PAGETOP