
【白老】町内の採卵養鶏業「北海道種鶏農場」が生産する「エイビアリー平飼いたまご」が、専門家による食品の評価制度「ジャパン・フード・セレクション」で最高賞のグランプリを受賞した。卵の味わいはもちろん、鶏本来の行動欲求を満たす「エイビアリー」(多段式平飼い)方式で飼育し、動物福祉の観点からも評価された。
同セレクションは日本フードアナリスト協会(東京)が、2014年に開始。食の専門家である会員約2万3千人が、申請や推薦のあった食品を書類審査や試食を通じて評価し、毎月、グランプリ、金賞、銀賞などを選ぶ。「エイビアリー平飼いたまご」は会員の推薦で審査を受け、他の33品目とともに4月のグランプリに選ばれた。道内の鶏卵がグランプリ受賞するのは初めてという。
エイビアリー方式は欧州発祥で、家畜の健康と飼育環境に配慮する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の観点から、注目されている。3、4階建てのマンションのような多段式で飼養し、止まり木を設置した休息エリアや巣箱のある産卵エリアを設け、自由に行き来できる。
日本では、かごに入れて管理する「ケージ飼い」が9割以上だが、同社は鶏の行動欲求を満たす環境整備を考え、23年4月に導入した。現在は鶏舎2棟の計約2万8千羽がエイビアリー方式で、10月までには専用鶏舎を1棟新設する。
同社の川上一弘社長(65)は「日本でもアニマルウェルフェアの動きが高まるかもしれない。消費者に選択肢を多く提供することが生産者としてできること」と語る。審査では「鶏に優しい飼育方法で、健康的なたまごを生産している」と評価された。
同社の卵は鶏の飼料にもこだわり、道内産の飼料米や子実トウモロコシ、魚かすを配合するなど、栄養価が高い。審査では「オリジナル飼料を与えることで、濃厚でコクがある卵に仕上がっている」「うまみと甘みが強く感じられる」との声があった。
川上社長は「味覚は十人十色で一概には言えないが、第三者に評価してもらったことで、消費者の一つのものさしにはなる」と喜ぶ。受賞した商品は同社の物販店舗「マザーズ」で10個入り450円で販売しているほか、コープさっぽろなどでも取り扱っている。 (小林彩乃)
(2025年5月10日掲載)