
朝からしっかりと、そして美味しいごはんが食べたい―。職場や学校に向かう前に、観光で札幌を訪れた際に、そして「たまには早起きして朝から外食をしてみようか」という方に、札幌市内で早朝から営業している、おすすめのお食事どころ4店をご紹介します。
目次
“こだわりのソーセージがうますぎる”唯一無二のホットドッグ「THE DAY」

うま味あふれるソーセージをはじめ、厳選素材がベストマッチしたホットドッグを朝8時 から楽しめます。
店のオープンは2025年2月。「札幌で一番のホットドッグを目指す」と、嶋谷広大店長(37)が追 求したおいしさがこの一皿に詰まっています。

ホットドッグの主役であるソーセージは、十勝地方の「エルパソ牧場」で飼育されているブランド 豚「どろぶた」を使って開発したオリジナルの逸品です。肉本来のうま味を存分に引き出すた め、通常のソーセージに入っているハーブ類をできる限り省いたのが特徴。「ひき肉の配合割合 を決めるまで100回以上試作を重ねました」(嶋谷さん)という自信作です。

また、燻製などの加熱処理をしていない生ソーセージであることも、こだわりのポイント。肉々しさをぐんと凝縮させることができるのだそうです。焼く前にボイルして肉汁を閉じ込めてから、パ リッと焼き上げていきます。
そのソーセージをしっかりと受け止めるオリジナルのバンズにも、こだわりが詰まっています。 道産小麦のバゲット生地を、コッペパンのような形に焼いています。注文を受けてから、バターを 塗ってカリッと香ばしく焼き上げ、ソーセージをはさみます。外側はサクサクとした歯触り。中は、 ソーセージのうま味に負けないもっちりとした食感で、程良い甘みも広がります。
自家製のケチャップは、トマトソースのようにサラッとした口当たりで、酸味が少なく、トマトの自 然な甘みが生きています。「日本人の口に合うように考えました」と嶋谷店長。 フライドオニオン の歯触りやマスタードの穏やかな辛味もアクセントです。

札幌に本格的なホットドッグの店がなかったことから、この店をオープンさせた嶋谷店長。準備期 間に全国のホットドッグ専門店を食べ歩いて実感したのは、おいしさはもちろん、それぞれの店 が地域に密着し、溶け込んでいることでした。嶋谷さんは「この店も、地域の皆さんに愛され、文 化の発信拠点になるような店にしていきたい」と話します。

常連客も若者から高齢世代まで幅広く、犬を連れての来店もOKのため、散歩の途中で気軽に 立ち寄れます。2階にある美容院では、施術の合間に食べることもできるそうです。

午前8時から10時までは、「スタンダードドッグ」(単品680円)とドリンクのみ提供。10時以降 は、「テリヤキドッグ」(710円)や「エスニックドッグ」(750円)、「ハニーチーズドッグ」(830)円など ホットドッグ全6種類をはじめ、ほかのメニューも注文できます。
「ホットドッグセット」(スタンダードドッグの場合1310円)に付くフライドポテトは、米粉をまぶして カリッと揚げ、ホクホクとしたおいしさがホットドッグのお供にぴったりです。テイクアウトの場合、 容器代50円が別途必要です。
店名は、「最高な一日を演出できるように」という思いが込められています。一日のスタートに、 最高のホットドッグをどうぞ。

店名/THE DAY |
住所/札幌市中央区南3条西8丁目7-3、藤栄ビルF11 |
電話/011-213-0266 |
営業時間/午前8時~午後4時(午後3時30分ラストオーダー) |
定休日/火曜 |
instagram/@the_day___ |
“美しい朝ごはん”栄養もおいしさもたっぷり「cafe Brim」

野菜をふんだんに使ったオープンサンドや、おにぎりをメインにした和のプレートのほか、スイーツやドリンクも楽しめる「cafe Brim(ブリム)」。彩りも美しく、朝から元気がわいてきます。

インバウンドも多く宿泊する「UNTAPPED HOSTEL(アンタップトホステル)」の1階に、2025年4月にオープンしました。店長の三島柊子さん(26)によると、宿泊者はもちろん、一般客も多く、年齢層や国籍も幅広いそうです。地下鉄の駅に近く、周辺には大学もあり、通勤や通学前に気軽に立ち寄りやすいのも魅力です。

「オープンサンドプレート 季節のスープ付き」(1300円)は、旬の野菜をたっぷりと味わえます。
現在は、夏野菜の代表格であるトマトを生かした「マルゲリータトースト」を提供。赤と黄色の2種類のミニトマトを食パンの上にゴロゴロとのせ、相性抜群のバジルソースやモッツァレラチーズなどとともに焼いています。トマトの爽やかな酸味や、パンのサクッとした香ばしさを、すがすがしいフレッシュバジルがぐんと引き立てます。

副菜には、ズッキーニやパプリカなどを混ぜたイタリアのオムレツ「フリッタータ」や、「フムス」(ひよこ豆のペースト)、サラダが添えられています。
スープは「ブロッコリーのポタージュ」。アーモンドミルクを使ったヴィーガン対応の一品で、こくがありながらも後味はすっきりとしています。

彩り豊かな副菜もおいしい「おにぎりプレート 日替わり味噌汁付き」(1300円)も人気。
おにぎりは、4種類の具から2つ選べます。取材では、紀州南高梅と自家製昆布佃煮を選びました。紀州南高梅のおにぎりにはサクラの塩漬けがちょこんとのっていて、見た目のかわいらしさだけでなく、程良い塩味がごはんや梅干しとよく合います。
口の中でごはんがホロリとほどけていくような握り具合も絶妙です。

おにぎりに添えられたおかずは、脂がのった鮭の塩焼き、だし巻き卵、歯触りが楽しいレンコンの塩きんぴら、キュウリの浅漬けでした。季節によって内容が変わるそうです。
みそ汁は昆布だけでだしを取っており、スープと同様、ヴィーガンでも安心して味わえます。
要望があれば、おにぎりプレートとオープンサンドプレートの副菜を入れ替えることでヴィーガン対応が可能です。

三島さんは「今後は炊き込みごはんのおにぎりや、焼きおにぎりなども登場する予定」と話します。オープンサンドも、グラタン風トーストにしたり、季節の野菜を生かしたりと新メニューを考案していくそうです。

暑い日には、冷たい「自家製レモネード」(600円)でさっぱりと。
一緒に味わいたいのが、グルテンフリーの「キャロットケーキ」(700円)です。生地には細切りのニンジンやクルミが混ぜ込まれていて、食感を楽しめるとともに、シナモンやジンジャーなどのスパイスの香りが鼻を抜けます。クリームチーズをベースにしたフロスティングで、まろやかなこくをプラス。食後でもペロリと食べられます。

「満たす」という意味がある店名の「Brim」。おいしいごはんと温かな雰囲気で、訪れた人の身も心も満たしてくれるはずです。
店名/cafe Brim |
住所/札幌市北区北18条西4丁目1-8、UNTAPPED HOSTEL 1階 |
電話/なし |
営業時間/午前7時~午後2時(フードのラストオーダーは午後1時) |
定休日/水曜日 |
instagram/@cafe_brim |
台湾の元気の源“本場の朝ごはん”を札幌で「早餐」

台湾の本場で愛されている定番の朝食メニューを満喫できる店「早餐(そうさん)」。台湾出身の オーナー、羅傑(ロジェ)さん(35)が2024年11月にオープンしました。

羅傑さんによると、台湾では朝ごはんを家で作って食べる人は少なく、大半の人が外食したり、 屋台やキッチンカーでテイクアウトしたりします。「台湾の人は朝ごはんをとても大事に考えてい ます。朝から温かな食事をしっかりと食べることで、一日を元気に過ごせるのです」と羅傑さん。

もち米を使った「台湾おにぎり」(700円)は、おにぎりの具材として台湾の揚げパン「油条(ゆじょう)」が 入っているという少しユニークな一品です。大きめの俵型に握られたもち米の中に、カリカリ食感の油条、さらに味付け豚肉を炒めて乾燥させた「肉鬆(ロウソン)」、卵焼きと、具だくさん。うま味 が濃い肉鬆はかつお節に似た感じで、“ごはんのお供”確定です。
大豆から作った飲み物「自家製ドゥージャン」(250円)もおすすめ。豆乳とはひと味違い、豆の味 がダイレクトに伝わってくる健康的なドリンクです。

「ダンビン」は、米粉と小麦粉を配合した生地で具材を包んで焼く料理。「ハムダンビン」「ハッ シュドポテトダンビン」などいろいろな具材がある中、取材で注文したのは「チーズダンビン」(400 円)。モチモチの生地の中から、トロリととろけるチーズと目玉焼きが顔をのぞかせます。甘みの ある台湾のしょうゆが全体をまとめ、ペロリと食べられます。
北海道ならではのサケを使って羅傑さんが考案した「しゃけダンビン」(400円)もあります。

パンチが効いているのが、「ブラックペッパー鉄板焼きそば」(700円)。麺はコショウの風味で想 像以上にスパイシーな味付けながら、上にのせた豚肉や目玉焼きのうま味と相まって、くせにな りそうなおいしさです。シャキッと目が覚めます。

半熟の目玉焼きがのった「大根もち」(500円)も人気です。ふんわりとして優しい味わい。大根 もちや焼きギョウザ、ハムエッグの「中式セット」(650円)もあります。

羅傑さんは20歳から台湾の飲食店に勤務。日本文化に興味があり、「台湾で日本の 居酒屋のような店を開きたい」と考え、開業に向けて居酒屋で学ぼうと2018年に札幌へ。しかし、 働いていた居酒屋がコロナ禍で閉店し、台湾へ帰国。22年に台湾で「神居」という名の居酒屋を オープンし、現在も経営しています。
スノーボードが趣味の羅傑さんは「北海道が大好き。食べ物も空気もおいしい」と再び来日し、 この店を構えました。

平日は出勤前の午前8時前後から、週末は平日より早めの午前7時ごろから多くの人が立ち寄り、デリバリー注文も多いそうです。
店はメインストリートから小路を少し入ったところにあり、見つけづらいかもしれませんが、羅傑 さんは「隠れ家のようで、皆さんに面白いと思ってくれているようです」と笑顔を見せます。
店名/早餐 |
住所/札幌市中央区南6条西15丁目2-2 |
電話/011-596-7779 |
営業時間/午前6時~午後2時ラストオーダー |
定休日/不定休 |
instagram/@sousan_japan |
“ザ・日本の朝ごはん”家で食べているかのような素朴さと安心感 「武ちゃん」

朝7時から定食やおにぎりを食べられます。焼きサケや卵焼きなど、家で食べる朝ごはんのようにシンプルで気兼ねなく、お財布に優しい値段なのもうれしいです。
店主の武内範晃さん(50)が一人で切り盛りしています。範晃さんの父、剣一さんが長年この場所で寿司店を営んできましたが、剣一さんが亡くなり、さらにコロナ禍で夜の飲食店営業が厳しくなったこともあり、5年前に定食店へリニューアル。現在は朝、昼を中心に営業しています。

朝に注文できる定食は5種類。特に人気があるのは、「焼き魚定食」(530円)です。大きめに切った塩サケはごはんのお供に程良いあんばい。脂も適度にのり、ふんわりと焼き上がり、朝食にぴったりです。長年の付き合いがある仕入れ先から、質の良い魚を買い付けることができるのだそうです。


ごはんとみそ汁、漬け物のほか、冷や奴、卵焼き、味のりも付いてきます。
みそ汁の具はお寿司屋さんのころから変わらず、長ネギと豆腐が定番。卵焼きも、お寿司屋さんのころに出していた物と同じで、ほんのりとした甘みとだしが優しく、昔からの常連客にはなじみのある味です。

焼き魚定食と並んで注文が多いのが、「納豆定食」(400円)。時間のない朝にササッと食べられるのが好まれるようです。ほかの定食に納豆を追加注文(50円)する人もとても多いとのこと。日本の朝ごはんにはやはり、納豆が似合います。

定食のごはんは180グラムとしっかりとした量ですが、納豆と合わせて300グラムの大盛り(50円追加)を注文する人もいます。
米は道産のななつぼしを使っています。武内さんは「なるべく炊きたてのごはんを食べてほしい」と、一気に大量を炊くのではなく、一日に3,4回に分けて炊くのだそうです。「炊きたてのご飯がなくなると、ラストオーダーの前に店を閉めてしまうこともあるんです」(武内さん)というこだわりようです。
朝からガツンと食べたい人には、ショウガを効かせた牛皿が主菜の「牛しぐれ煮定食」(530円)もおすすめです。

逆に、そんなにたくさん食べられない…という人には、おにぎり(130~300円)もあります。売れ筋は「鮭」(200円)や、さっぱりとした味わいの「うめしそ」(170円)。「崩れてくるくらいふんわりと握るのがコツ」と武内さん。柔らかな口当たりが絶妙です。チーズめんたい、チーズたらこなどの具もおいしそうで気になります。テイクアウトもできますよ。

常連客の多くは、近所の人や通勤前の男性。また、武内さんによると、西15丁目付近にはホテルや民泊が多いそうで、最近は素泊まりの宿泊客が朝ごはんに立ち寄るケースも増えてきています。
昼の営業では、とんかつ定食やしょうが焼き定食、海鮮丼など、朝とは違うメニューも楽しめます。夜は、宴会などの予約を受けた場合のみ営業します。
店名/武ちゃん |
住所/札幌市中央区南1条西15丁目1 |
電話/011-631-9144 |
営業時間/午前7時~午前9時ラストオーダー、午前11時~午後2時ラストオーダー。夜は予約営業のみで午後5時~午後9時 |
定休日/日曜、祝日 |
HP/https://takechan115.hp.peraichi.com/ |