【月形】町の地域おこし協力隊の任期を2021年3月に終えた加藤由紀さん(46)が、町内で飼育されている黒毛和牛の母牛の肉を熟成させ、ハンバーグやソーセージに加工して百貨店の催事などで販売している。「月形の新たな特産品にしたい」と意気込んでいる。
町内では、生産者7戸が食肉用の子牛を産む黒毛和牛の母牛を育てている。月形出身の加藤さんは付加価値を付け、生産者の所得向上や町のPRにつなげようと、協力隊を終えた直後の同年4月、町内の生産者や食肉加工会社の「北海道フード」(札幌)などと「月形黒毛和牛母牛研究会」を設立、商品開発を始めた。
出産を経験した母牛の肉は赤身が多く硬いのが特徴だ。食味向上のための方法を研究した結果、母牛の出荷前の3カ月間に穀物や濃厚飼料を与え、解体した肉を真空パックして低温で2週間ほど熟成させる方法で肉のうまみが引き出せることが分かった。
この肉を利用し、まずハンバーグ(150グラム入り756円)とソーセージ(4本入り1296円)を同年秋に商品化。加藤さんは「肉をおいしく味わってもらうために、添加物を極力使わずに商品化する点が苦労した」と話す。
商品開発と並行して、販路開拓にも奔走。食産業に関わる人材を育てる道の「地域フード塾」の商談会などで本州のバイヤーらの目に留まり、今年7月からは高島屋(大阪)のオンラインストアでの取り扱いが始まった。今月は大阪の近鉄百貨店に催事出店し、10月には高島屋新宿店で販売する。
今月からは、新たにすき焼き用のスライス肉(250グラム入り3240円)の販売も始めたが、月形で販売する店舗がないのが悩み。加藤さんは「今後は町内で販売できるようにして、できれば牛肉のみそ漬けのような商品も作りたい」と話す。問い合わせは加藤さん、電話090・1304・9523、メール(yukikato.tsukigata@gmail.com)へ。(渡辺拓也)
(北海道新聞2022年9月22日掲載)