【音更】木野農協(音更)は育苗ポットに植えたままのレタス「ポットレタス」を今年初めて生産し、9月から出荷を始めた。豆苗やハーブのように室内で育て、必要な分だけちぎって食べる。資材高騰で組合員らに販売する苗の栽培コストが増す中、農協自ら稼ぐことで値上げを抑える狙いがある。今後は収益性の高いイチゴなどの出荷も予定する。
レタスは鮮やかな緑色の品種「ナバロン」と、赤みがかった「フランビーノ」が1株ずつ、直径10・5センチのポットに入っている。種をまいてから60~80日後、高さ30センチほどに育ったものを出荷する。1玉丸ごとは使い切れない単身や2人暮らし世帯の需要を見込んだアイデア商品で、水を張った皿に載せて日当たりの良い室内に置くと3カ月ほど収穫を楽しめるという。
栽培場所は、町内下士幌の同農協特産物センター内にある育苗ハウス。1984年の建設当初から50度以上のモール温泉が湧き出ており、温泉熱でハウスを温め、組合員向けに特産のブロッコリーなどの苗を育ててきた。ただ、9月から12月にかけて何も栽培していない時期があり、有効活用を検討していた。
ポットレタスの生産を始めた背景には、ウクライナ危機などを受けた資材の高騰がある。肥料や種などあらゆる経費が上昇し、現状のままでは苗の価格を上げざるを得ない。そこで、農協自らが収益を上げることで経費の増加分を補い、生産者の負担を減らそうと考えた。青木健治特産物センター長は「灯油代も上がっており、温泉熱がある強みを生かしたい」と話す。
9月上旬からMEGAドン・キホーテ西帯広店や、木野農協系の食品スーパー「ハピオ木野」、釧路管内のエーコープなどで1個200円前後で売り始めた。今後はイオン帯広店などにも販路を広げる。本格的な出荷は10月上旬から12月下旬で、初年度は1万3千~1万4千個を予定する。
同農協は閑散期の育苗ハウスを生かし、レタスのほか、イチゴやトマト、ナスなどの生産も計画する。レタスに続くポット野菜も検討中で、「キッチン菜園」シリーズと銘打って展開したい考えだ。(高橋澄恵)
(北海道新聞2022年9月29日掲載)
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