
秋の味覚の代表格サケ。今年の秋サケの北海道への来遊数は昨年よりも大きく減少することが予測されているが、道民に最も親しみのある魚の一つであることは確かだ。北海道中央調理技術専門学校(札幌市豊平区)副校長の斉藤邦則さん(46)に、キノコや秋ナスといったこれまた旬の素材を合わせた料理を作ってもらった。
「サケとキノコの炊き込みご飯」に使うキノコはエノキタケやマイタケ、戻した干しシイタケでもOK。ただ、マイタケは米に色が移って黒っぽくなるので注意が必要だ。キノコが好きなら事前に煮ておけばかさが減り、よりたくさん食べられる。サケはフライパンで両面に焼き色を付けた上で、はじめからキノコと一緒に炊き込んでも構わない。「茶わんに盛る際はすべての具が見えるようにすると見栄えが良い。イクラは少量でも散らすと一気に高級感が出ます」と斉藤さん。「サケに限らず魚の切り身はパックから出したら表面にごく少量の塩を振り、10分ほど置いてキッチンペーパーで拭いてから調理すると無駄な水分や臭みが抜けます」とアドバイスする。
皮が柔らかい秋ナスを使った「サケと秋ナスのみぞれ煮」はすぐに食べないのなら、レシピよりもだしの量を多くして味が濃くならないようにすると良い。だしが利いているので冷めてもおいしい。サケに小麦粉をまぶしてから焼くことでうまみとしっとりさを閉じ込めることができる。焼いたナスの油が気になる場合は、キッチンペーパーに置いて油を取ろう。
炊き込みご飯もみぞれ煮も使うのはかつおだし汁が基本。顆粒(かりゅう)の市販品でも代用できる。(佐藤仁)
■サケとキノコの炊き込みご飯

◇材料(3~4人分) 生サケ150グラム、シメジ1パック、シイタケ3枚、ニンジン20グラム、三つ葉少々、米2合、塩適量、A(だし汁320cc、しょうゆ、みりん各20cc、塩、酒各少々)
◇作り方
①シメジはほぐし、シイタケはスライス、ニンジンは細かくそろえてカットしておく。
②生サケに多めの塩を振り、グリルで焼く。
③炊飯器に米とA、①を入れて炊く。
④炊きあがったら②を入れ、数分蒸らす。
⑤ざっくりと交ぜて茶わんに盛り、さっとゆでた三つ葉を散らす。
◇メモ お好みでギンナンやイクラを散らせばより華やかに秋らしくなります。土鍋で炊く場合も作り方は同じです。
■サケと秋ナスのみぞれ煮

◇材料(2~3人分) 生サケ150グラム、ナス2本、大根おろし1/4本分、小ネギ、一味または七味各少々、A(だし汁240cc、しょうゆ、みりん各30cc、砂糖小さじ2)、塩、片栗粉、サラダ油各適量
◇作り方
①サケは15グラム程度にカットし軽く塩を振っておく。
②ナスは縦に半分にして皮に切れ目を入れ、横に3等分する。
③フライパンに油を引いてナスを皮目から焼き、片栗粉をまぶした①と一緒に焼く。
④Aを鍋で煮立たせ、軽く水を切った大根おろしを入れる(大根おろしは盛り付け用に少し取り分けておく)。
⑤④に③を入れ、2~3分弱火で煮込む。
⑥器に盛り、取り分けておいた大根おろし、小ネギ、一味を散らす。
◇メモ ユズがあれば皮を細かく切って散らすと風味が豊かになります。
(北海道新聞2025年9月22日掲載)