
【余市】町登町の観光果樹園を引き継ぎ、3年前から醸造用ブドウを栽培しているニトリ果樹園(余市、似鳥靖季(はるき)社長)は、4月に果実酒製造免許を取得し、今秋から「ニトリワイナリー」の名称でワイン醸造を始めた。これにより、町内のワイナリーは計20カ所となった。
同社は2022年からリンゴやナシの畑を順次、ブドウ畑に転換し、これまでにシャルドネ、ピノ・ノワール、アルモ・ノワールなどを計2・3ヘクタールに定植した。気候変動によるリスク分散のため多品種を栽培する方針で、27年までに畑を3・3ヘクタールまで広げる計画だ。
醸造は24年まで他のワイナリーに委託していた。23年は白ワインを瓶詰め約370本、24年は白、赤、ロゼを計約1800本製造。今年は自社醸造で約3千本を目指す。
真新しい設備を前に、醸造責任者の山田彩織さん(35)は「まずしっかりと希少価値が認められるワインを造る。欲を言えば余市の魚介類などに合うワインを造っていきたい」と目を輝かせる。
日本ソムリエ協会認定のワインエキスパートの資格を持つ山田さんは、横浜市出身。東京の会社勤務を経て、長野県内のワイナリーで2年間アルバイトをしながらワイン造りを学び、2年前に現職場へ。果樹栽培の経験豊富な農場長、もう一人の男性社員の計3人で力を合わせて作業を進めている。(土屋孝浩)
(北海道新聞2025年10月1日掲載)


