
焼きいものほか、スイートポテトや大学いもなどサツマイモを使った秋の味覚を楽しむ「さっぽろ焼き芋テラス2025」が10月24日(金)、札幌市中央区の中島公園南9条広場で始まりました。過去最多の焼きいも店9店が出店するほか、スイーツやキッチンカー、道産サツマイモの焼酎を提供するブースなどが登場し、大勢の人でにぎわっています。11月3日(月・祝)まで。


2023年に初開催し、今年で3回目。昨年は5万8000人が来場した人気イベントとなっています。この日も、雨がそぼ降る中ながら、午前11時の開場前から、入り口前には大勢の人が並んでいました。会場後も、人気店の前には行列ができました。

今年はこれまでで最多の計19店が出店。開催時間も午前11時から午後8時までと1時間延長し、中島公園で同時開催している紅葉ライトアップイベント「SAPPORO AUTUMN ILLUMINATIONS(サッポロオータムイルミネーション、午後5時半~9時)」と併せて楽しむことができます。


焼きいも店9店のうち、初出店は3店。「なまら十勝野」は芽室町の農家が運営し、焼きいもとさつまいもチップスを販売しています。10数センチと小ぶりな紅はるかをじっくり焼き上げ、しっとりとした優しい甘さ。十勝の広大な大地で育ち、寒暖差が甘みを生み出しているそう。


「芝ファーム」も初出店で、石狩市の農家が運営。焼きいもや冷やし焼きいも、芋けんぴなどを扱っています。完全無農薬で育てた紅はるかが主体で、約30センチ、重さ1キロの大きなサツマイモも。1キロのサツマイモは1500円。食べてみると、ほっくりした食感で、甘さは控えめ。ウズベキスタン・アラル海の砂漠緑化運動を主導しており、砂漠化防止と飢餓の絶滅のために、収益の一部を寄付しているそうです。


もうひとつの初出店は、京都市の「京都芋屋 芋と野菜」。超極蜜焼き芋や超干し芋、京甘藷けんぴなどを販売しています。超極蜜焼き芋は、割ると柿のような濃いオレンジ色。食べてみると、ねっとりとした食感ですが、甘すぎず、蒸したニンジンやカボチャのような、「野菜感」があります。超極蜜スイートポテトはサツマイモの皮の部分を器にして、パティシエが素材の良さを引き出したフィリングを詰めて焼き上げています。バターの香りがして、濃厚な味わいです。オーナーは札幌出身で、京都市で店を構えるほか、全国各地の物産展などにも出ているそうです。


「焼きいもや」(札幌市西区)は、いろいろな品種の焼きいもを販売しており、イベント時の限定販売「三種食べ比べBOX」が例年、大人気で行列ができています。紫色のサツマイモはねっとりとしたサツマイモらしい味わいで、オレンジ色のはみずみずしく、あっさりしています。最もオーソドックスな〝サツマイモ色〟のものはねっとりとしていて、3種類の中で最も味の濃い焼きいもです。


札幌市中央区の「やきいもLabo」のやきいもはドライアライブという機械で、真空状態にして蒸し、圧力を下げて乾燥させて仕上げた紅はるか。皮も食べることができ、栄養価も高いそう。ほかに、焼き芋テラス限定で、「やきいもブリュレ」や「雪塩imoンシェ」、「焼き芋バスクチーズケーキ」などのサツマイモスイーツも販売しています。雪塩imoンシェは、バター感が強く、ほどよい塩味。バスクチーズケーキもかすかな塩味とチーズの香りで、どちらもスイーツというより、ワインやビールのお供にも良さそうです。


「おいも屋いも平」は札幌市白石区に店を構え、焼きいもやいもけんぴ、干しいもを販売。元お笑い芸人の店主が、「焼きいも好きの、焼きいもおじさんが、焼きいも好きのために焼いた、厳選の焼きいもを…焼いちゃえ」をモットーに、店を運営しているそうです。その焼きいもはねっとりとした食感で、甘そうに見えますがくどくはありません。


「壺焼き芋 絆」(札幌市手稲区)は壺焼き芋や冷やし焼き芋、壺焼き芋入りどらやきなどを扱っています。壺の中で練炭を燃やし、サツマイモをつるしてじっくりと火を入れます。紅はるかの焼き芋は、しっとりしていて、サツマイモそのものの甘さがあります。「冷やし」はそれを急速冷凍し、スイートポテトのような味わいだそう。


「みらい畑」は札幌市東区の農家が運営。農薬や化学肥料などを使わない自然栽培で育てた紅はるかを、自社開発した「特性レンガ石窯」で焼き上げています。自然栽培を提唱し、映画「奇跡のリンゴ」のモデルとなった青森県の農業木村秋則さんから直接指導を受け、皮までおいしく食べられます。実際食べてみると、皮がおいしい!口に残ることもなく、香ばしさとサツマイモらしい素朴な味わいです。


「由栗(ゆっくり)いも~そらち南さつまいもクラブ~」は焼きいものほか、サツマイモでつくったバターケーキ、どら焼きなどのスイーツを販売。「由栗いも」は由仁町と栗山町のサツマイモ農家約30戸がつくる紅あずまのブランド名で、会場では石焼きいものガス釜で焼き上げています。パウンドケーキ「ブルーブロッサム」はバターの香りたっぷりで、「由栗いものおいしいパイ」は栗のようなまろやかな甘さを感じます。


スイーツは初出店3店を含む5店が出店。初出店の「一実庵」(札幌市北区)は、焼き芋串やお汁粉などを販売。普段はフルーツに特化したフルーツサンドやスイーツを手がけており、今回はさつまいもサンドイッチを出品。断面は全面サツマイモという迫力ですが、生クリームもたっぷりはさまっています。サツマイモのねっとりとした甘さにクリーミーさが加わり、洋風なのに濃い緑茶やほうじ茶に合いそう。イチゴがたっぷりのったパフェなども人気を集めています。


初出店、「札幌村スイートポテト」(札幌市東区)の看板商品は、店名の通りスイートポテト。熟練の職人がつくる20センチほどのどっしりとしたスイートポテトは、サツマイモの皮を器に、自家製カスタードクリームを使ったフィリングを詰め焼き上げています。サツマイモチップスも人気で、極薄にスライスされたパリパリと軽い食感ですが、塩味とサツマイモの甘さのバランスがちょうどよく、一度食べたら止まらないおいしさです。


「もち工房 みやび」(札幌市北区)は、イベント限定の「餅屋のおしるこ」のほか、いもようかんやサツマイモのきんつばなどをそろえます。「焼きいも大福」は素朴な甘さで、たっぷりまぶされた黒ごまの香ばしさと食感がいいアクセント。「スイートポテト大福」はたっぷりのクリームとスイートポテトのフィリングが合わさって、まるでケーキです。


札幌市豊平区の人気ケーキ店「パティスリーフレール」は、昨年に引き続き、クロワッサンをプレスして30センチ以上に伸ばした韓国発祥の「クルンジ」などを用意。定番入りしているサツマイモ味のほか、会場限定で栗やかぼちゃもそろえます。焼き芋テラス限定のケーキ「さつまいもモンブラン」も販売しています。


「WAYAWAYA CAFE」(札幌市白石区)も初出店。紅芋チュロスや韓国で人気のサツマイモスイーツ「コグマボール」を販売しています。コグマボールはもちっとした生地でスイートポテトペーストを包んだ小さなボール状のお菓子を串に刺して揚げたもので、「コグマ」は韓国語でサツマイモのことだそう。
キッチンカーも2台出店し、うち1台はサツマイモに特化した「おいもさん」。大学いもやフライドおさつを販売しています。大学いもははちみつを使わず、さらっとした蜜が特徴。軽やかな甘さで、食べ飽きせず、添えられたホイップクリームをディップして「味変」もできます。フライドおさつは、バターしょうゆや塩コショウなどの「しょっぱい系」のフレーバーを選ぶことができ、ガーリック塩はほんのりとしたガーリックの風味と優しい塩味で、お酒のおつまみにも良さそうです。


「サツマイモ攻め」にあい、お腹がいっぱいになりかけていましたが、「やきいも酒場」にサツマイモのビールと焼酎があると聞きつけ、逃すわけにはいかないと行ってみました。ビールは、札幌・桑園の「ストリートライト・ブルーイング」に委託醸造した「ムーン・シャイン」。ローストした紅はるかを使ったスタウト・スタイルです。
缶を開けて注いでみると、どろりと粘度があるかと錯覚するほどの、濃厚な黒。飲んでみると、香ばしさがあり、黒ビール特有のローストの濃厚な味わい。コーヒーのような苦みや焙煎の香りもあり、おいしい!

サツマイモの焼酎は4種類。由仁町と栗山町で生産されているブランドサツマイモ「由栗いも」を使って、日本清酒に委託醸造した「ミナミソラチュ」は焼き芋テラス限定。ほかに、北海道産紅はるかを使った「喜多里紅はるか」と北海道産の紫芋パープルスイートロードを原料にした「喜多里パープルスイートロード」、種子島産の安納芋の「炭火焼安納芋焼酎」も、それぞれロックや水割り、お湯割り、ソーダ割りで飲むことができます。
限定の「ミナミソラチュ」を。お湯割りで。コップを手にしただけで、ふわりと甘い芋焼酎の香りが立ち上ります。飲んでみると、まろやかで豊かな風味が広がります。味はしっかりとしていますが、余韻はすっきり。食後にちびちび、でも、食事中酒としても合いそうです。


焼き芋テラスの会場には、囲い付きの飲食用テントが並び、ストーブも設置されていますが、「やきいも酒場」には立ち飲み用のカウンターもあります。ビールや芋焼酎のほか、日本酒やワインも販売。おつまみとしては、缶詰メーカー国分の「缶つま」シリーズを用意しています。サッポロクラシックを使った北海道限定の「マトン肉のビール煮込み」や北見市の焼き肉店「味覚園」監修の「北海道産牛もつ煮味噌味」など、お酒の進む缶詰が並びます。


このほか、焼き芋テラスにはコーヒースタンド「Fresh Coffee」と札幌近郊の野菜を販売する「さっぽろできるだけプロジェクト」、豚汁や焼きおにぎりなどを販売するキッチンカー「P-moving」も出店しています。
焼き芋テラスは11月3日(月・祝)までの、午前11時から午後8時まで。期間中、午後5時半から9時までは、中島公園内の紅葉をライトアップする「さっぽろオータムイルミネーション」も開かれています。


