
シメジやエノキダケ、シイタケと、種類も豊富な秋の味覚がキノコだ。札幌市中央区の和食料理店「風香」店主の竹澤哲也さん(52)に手軽でおいしいキノコの調理法を聞いた。
20歳で料理の道に入り、札幌市内の飲食店で修業後、2010年に独立した。旬の魚介類や道内産の肉を使った料理、家庭料理のおばんざいを提供する一方、料理教室も開いて和食の魅力を広めている。
「キノコと鶏肉の治部煮仕立て」は、石川県の郷土料理である治部煮風にした。使うキノコはお好みで。「キノコは包丁で切るよりも手で裂いて繊維が粗い方が味も染み込む」という。「前の晩に余った鶏肉の唐揚げを使っても、おいしく作ることができます」
「焼きマイタケと春菊と菊のおひたし」は、一手間かけた総菜だ。春菊をゆでる際は塩を一つまみ入れる。ゆでた後の湯に酢を垂らして、菊の花をゆでる。菊の花はざるなどに入れてさっと湯がく程度でよい。
調味液に漬ける際は、一部をかけて数分置き、余分な水分を出した後、調味液をいったん捨て、残りの調味液をかけて本格的に漬けると味が染み込みやすい。「ナメコはカットされ袋詰めされたものでもよいが、石突きのついた方がおいしい。今が旬なので食べてみて」と薦める。
だし汁、みりん、しょうゆの割合が温かい食べ物で8:1:1、冷たい食べ物で5:1:1が「黄金比」とのこと。さまざまな料理で使える和食の基本だ。
風香は札幌市中央区大通西16の2の4メゾンエクレーレ近代美術館2階。午後5~10時(午後9時ラストオーダー)。要予約。日曜祝日定休。電話011・795・7978。(佐藤仁)
■キノコと鶏肉の治部煮仕立て

◇材料(1人分) シメジ、エノキダケ、マイタケ各1/4パック、シイタケ1個、鶏もも肉60~70グラム、塩、コショウ、粉ザンショウ各少々、かたくり粉、揚げ油各適量、A(カツオだし汁250cc、みりん、しょうゆ各30cc)、長ネギ適量
◇作り方
①シメジ、エノキダケ、マイタケは手で裂き、シイタケは包丁で切って食べやすい大きさにする。
②鶏肉を一口大に切り、塩、コショウを振る。水分が浮いてきたら軽く拭いてかたくり粉をまぶし、170~180度の油で揚げる。8割方火が通れば良い。
③長ネギを千切りにして水にさらす。
④土鍋にキノコと鶏肉を並べてAを入れ、火にかける。
⑤④が沸いてきたらアクを取りながらとろみが出るまで弱火で煮る。
⑥⑤を器に盛り、③をのせ、粉ザンショウを振っていただく。
■焼きマイタケと春菊と菊のおひたし

◇材料(4人分) マイタケ1/4パック、ナメコ1/3株、春菊1/2束、食用菊1/3パック、A(カツオだし汁500cc、みりん、しょうゆ各100cc)、塩適量、酢1~2滴
◇作り方
①マイタケをフォークなどで細く裂いて塩を振り、酒(分量外)か水を少し振ってオーブントースターで焼き色が付くまで焼く。
②ナメコは石突きを取り、水からゆでて一煮立ちさせ、流水にさらして冷ます。
③春菊は葉の部分を手でちぎり、茎は食べやすい大きさに切って沸騰した湯でさっとゆで、冷水に取る。
④食用菊はがくから外した花びらを、酢を入れた湯でさっとゆで、10~20分ほど流水にさらしてえぐみを取る。
⑤春菊と菊は絞って水気を切る。マイタケは粗熱を取って水分を拭き取る。
⑥Aを合わせて火にかけ一度沸騰させる。
⑦⑥を冷まして②と⑤を入れ、半日ほど冷蔵庫で寝かせる。 ◇メモ 器に盛り付け、あればイクラを散らして糸かつお節を載せる。
(北海道新聞2025年10月13日掲載)


