〈マチのこだわり味自慢〉ふわもち邸本店＝札幌市＊ドーナツ　軽くてもっちり

　ふわっと軽い口当たりながら、かむともっちりとした弾力が楽しめる。ドーナツとベーグルの専門店「ふわもち邸本店」（札幌市厚別区）のドーナツは、店名通りの食感と、甘さ控えめの優しい味が人気だ。

　同店の運営会社つつみや（札幌）社長、村上太飛人（たびと）さん（41）は「レシピは常にアップデートしている。今が一番おいしい」と胸を張る。

　生地にはジャガイモを練り込み、でんぷんの作用で独特のもちもち感を出した。さらにイーストで生地を発酵させることで、パンのような軽い食感に仕上げた。材料の小麦粉や牛乳、ジャガイモはいずれも北海道産だ。

　札幌の大学を卒業後、東京の飲食店で働いていた時、訪れた店で食べたドーナツのおいしさに衝撃を受けた。「ふわふわで油っぽくなく何個でも食べられる」。専門店の開業を決意し、Uターン。2009年、厚別区の自宅で開業し、12年に現在地に移転した。

　ドーナツは卵と乳製品を使う。アレルギーがあっても食べられるようにと、卵や牛乳を使わないベーグルを商品に加えた。当初はそれぞれ7種類だったが、「選ぶ楽しさを提供したい」と、ドーナツ約50種類、ベーグル約70種類に増やした。このうち店頭には計70種類ほどが並ぶ。

　1番人気のドーナツは、黒ごま入りの生地に十勝産の小豆を使ったこしあんを入れた「ごまあんこ」（227円）。甘さ控えめのあんと、ごまの香ばしい生地のバランスが良い。きび砂糖をまぶした「みるく」（184円）、チョコレートをつけた「フォンダンショコラ」（270円）など、幅広い味をそろえる。月替わりの限定商品もあり、11月のドーナツは「かぼちゃとりんごとクリームチーズ」（同）だ。 　直営は本店と札幌三越店の2店。ほかに札幌と旭川にのれん分けした店が1店ずつある。気軽に買えるようにと、ドーナツは1個184～270円で販売する。村上さんは「家族みんなで食べて思い出をつくってもらえるような商品づくりを続けたい」と話す。（石橋治佳）

(北海道新聞2025年10月27日掲載)