【愛別】愛別神社で宮司を務める丸井直人さん(52)が、境内の社務所の近くに手製のピザ窯を完成させた。もともとDIY好きで、「地域の人々が気軽に集まれる神社にしたい」との熱い思いを込めた。10月2日には火入れ式を実施。来春には一般への窯の貸し出しも始める予定といい、「愛別の新たな名物に育ってもらいたい」と願っている。
同神社は年末に氏子らが集まり約500キロの「大しめ縄」作りを行っていたが、高齢化などの理由で2016年を最後に中止となった。18年から同神社の宮司を務める丸井さんは、神社を中心にした住民のコミュニティーを復活できないかと考え、思い付いたのが以前から興味があったピザ窯だった。「特産品のキノコなどを使ったレシピでピザを焼けば、愛別らしさも加わる」と昨年6月に製作に取りかかった。
コンクリート製の基礎部分は地元の建設業者に頼み、丸井さんは窯部分を担当。休日などを使って幅約1メートル、高さ約70センチのドーム状に耐火れんがを積み上げ、煙突や屋根を設置した。窯は昨年11月に完成したが、新型コロナウイルス下だったことから発表を遅らせていたという。
火入れ式では神事の後、実際にピザを焼いて参加者に振る舞う計画。来年4月には、町内産農産物を使うことを条件に、希望者に窯を無料で貸し出すサービスも始める予定だという。丸井さんは「多くの人に使ってもらいたい。神社ににぎわいが戻ってくれたらうれしい」と話している。
北海道神社庁は「境内にピザ窯がある神社は道内では聞いたことがない。地域の結束を高める目的なら設置は問題ない」としている。(小林健太郎)
(北海道新聞2022年9月28日掲載 ※火入れ式の画像は10月2日撮影)