
【岩見沢】リンゴを原料とした酒「シードル」が岩見沢で初めて誕生した。長坂果樹園(毛陽町)の長坂智幸さん(63)が自社農園で収穫したリンゴで造った「oi cidre(オイシードル)」。すっきりとした辛口で、長坂さんは「今後はイベントなどにも出品し、岩見沢をPRしたい」と話す。
長坂さんは家業のリンゴ農園を手伝いながら、30年以上、岩見沢市役所に勤務。うち約15年は観光を担当し、特産品の開発やPRなどを担ってきた。2023年度に退職した後は、毛陽町を含む東部丘陵地域の活性化や特産品開発を目的とした個人事業を立ち上げた。
長坂さんが個人事業を立ち上げたことを知ったタキザワワイナリー(三笠)の影山航大社長(34)は昨年の夏、「シードルを造りませんか」と声をかけた。同ワイナリーは過去にシードルを造っていた経験があり、影山社長は「地域活性化のためにも新たなシードルを造りたい」と思っていたという。長坂さんも賛同し、今回実現した。
長坂さんは0・7ヘクタールの果樹園で、リンゴの木500本を栽培。シードル用に選んだのは「昂林」をメインに「紅玉」と「ひめかみ」で、酸味が強いのが特長だ。醸造は同ワイナリーに委託し、8月中旬に完成。約280本を9月上旬から販売している。
名前は親しみやすいよう、英語で呼びかける際に使う「oi」とシードルを合わせた。アルコール度数はシードルとしては高めの7%で、長坂さんは「料理と一緒に味わってほしい」と話す。
評判も上々。岩見沢市の老舗酒屋「倉持商店」(3西6)の倉持靖彦代表(72)は「まるでリンゴを食べているかのような爽やかで新鮮な味わい」と評価する。
1本2800円(750ミリリットル)だが、すでに完売した。(高木緑)
(北海道新聞2025年10月29日掲載)


