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2022.10.11

北海道土産やギフトに「小樽再生ガラス」はいかが?〈編集長☆発〉おすすめの「メイドイン北海道」その①

山﨑真理子
山﨑真理子

 北大水産学部時代に1年間、練習船に乗って遠洋航海に出ていた船乗り。北海道新聞社に入社後は、社会部の警察担当を振り出しに、網走、帯広、釧路など道内各地で勤務。東京勤務時代は政権交代時の民主党の番記者として、鳩山政権誕生を取材した。2022年4月にTripEat北海道を立ち上げ、初代編集長に就任。千歳支局長を経て、24年3月から旭川報道部長。

熱したガラスに息を吹き込み成形していく作業の様子

 お世話になった人や親しい人たちに北海道から何か贈りたい。

 そんな時、どんなものを選んでいますか? 北海道土産の定番になっているお菓子や海産物も良いけれど、たまにはちょっと違った何か―を求めている方に、新しい「メイドイン北海道」のオススメ3選をご紹介します。

 自分へのご褒美にも素敵ですよ。

廃ガラスを再生「新たな命」を吹き込む

深川硝子工芸の「小樽再生ガラス」のグラス
深川硝子工芸の「小樽再生ガラス」

 まずは、硝子工芸で有名な小樽から、深川硝子工芸の「小樽再生ガラス」をご紹介します。
 「再生ガラス?」
 と思った方、深川硝子工芸は、廃棄された自動車の窓ガラスからグラスを造っているんです。資源を無駄にせず、環境になるべく優しくしたい、との思いを込めて、職人が一個一個吹き上げて、廃ガラスに新たな命を吹き込んでいます。

小樽再生ガラスを手にする出口健太社長
小樽再生ガラスを手にする出口健太社長


 「小樽切子」などを手がける深川硝子が、小樽再生ガラスを造り始めたのは2017年からです。出口健太社長の父で先代の故・新一郎さんが、「サステナブル(持続可能)な物作り」に取り組むリサイクル業道内大手のマテック(帯広)から話を持ちかけられたのが始まりだったそうです。

廃棄される車の窓ガラスを原料に

小樽再生ガラスの原料となる自動車の窓ガラス
原料となる自動車の窓ガラス

 日本国内では自動車が年間約350万台破棄されているそうです。そのうち金属など部品の多くは資源としてリサイクルされていて、リサイクル率は実に95%と言われているとか。
 一方、窓ガラスは、リサイクルは難しく多くは埋め立てるしかないと聞き、「おもしろい。やってみよう」とテストが始まりました。最初は苦労も多かったようですが、徐々に品質も向上し、2年ほど前から、一般販売できるようになったそうです。

1枚1枚、手作業で外されて、深川硝子工芸に運ばれてくる原料の窓ガラスを手にする出口社長
窓ガラスは1枚1枚、手作業で外されて、深川硝子工芸に運ばれてくる

 窓ガラスは1枚1枚、人の手で外してトラックで運びます。そのため「遠くからガソリン代をかけて運ぶのはサステナブルじゃない」(マテック)と、深川硝子から一番近い石狩市の解体工場だけから調達しています。

作業スピード1.5倍速、熟練の技で

深川硝子工芸の作業場
深川硝子工芸の作業場

 深川硝子に届けられた窓ガラスは、目視で不純物を取り除いた後、数日かけて溶かし、グラスにしていきます。小樽再生ガラスは、職人さんが4人1組になって分業制で造ります。が、最初は相当てこずったそうです。

小樽再生ガラスの製作の様子
ガラスが溶かされている炉

 窓ガラスは、ガラス製造向け原料とは違い、冷めにくくする原料が入っていません。そのため熱したガラスが固まるスピードが通常より速く、「作業スピードを1・5倍速」にする必要があったそうです。

 恐ろしい話ですが、そこはさすが職人さん。熟練の技と連携作業で、今では半日で約400個を製造できるようになりました。

真っ赤なガラスの整形
真っ赤なガラスの玉

 ここ数年、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」への注目が集まり、首都圏などのセレクトショップや、大企業などが自社のイメージアップのため入手したいとの問い合わせが増えているそうです。

職人が一個一個ガラスを吹き上げていく様子
職人が一個一個吹き上げていく

薄緑色やグレー、独特の色合いも魅力

 小樽再生ガラスの特徴は、独特の色合いです。これまで運転席と助手席の窓ガラスを使っていたため、薄緑色のグラスに仕上がっていましたが、今年は新色のグレーも加わりました。スモークが入った後部座席の窓ガラスです。

作業場でのガラスの製作作業の様子

 製品ごとに色が微妙に違い、不純物が混じるため、気泡が多いのも再生ガラスならではの魅力です。

熱を帯びて真っ赤に染まる小樽再生ガラス
熱を帯びて真っ赤に染まる小樽再生ガラス
温度が下がり色が変わっていくガラス
温度が下がると色が変わっていく

 実は、主に砂が原料のガラスは、リサイクル性に優れた素材なんです。リサイクルという手間のかかる作業をすることで、限りある天然資源を循環させていく―。ヨーロッパでは古くからその考えが文化的に浸透していて、溶かしては作り直し、新たな付加価値を持たせて販売するというサイクルができています。

500度くらいあるグラスの温度を4時間30分ほどかけて常温に戻していく様子
500度くらいあるグラスの温度を4時間30分ほどかけて常温に戻していく

 出口社長は「ガラス屋が、近くでリサイクル用の原料を調達して、新しい製品に作り直す。そんな取り組みが全国に広がればいいですね」と話していました。

出口健太社長

 深川硝子は主に商社や企業に商品を卸していますが、深川硝子のHPのオンラインショップから購入できるほか、会社にはショールームが併設してあって、事前予約すると実際に見て、購入することもできます。興味のある方はぜひ問い合わせてみてください。
 ショールームは平日の午前8時~午後5時。予約、問い合わせは深川硝子工芸(小樽市有幌町2の3)☎0134・31・3002へ。HP:https://fukagawaglass.co.jp/

ガラスの製作作業を手掛ける職人の後ろ姿
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山﨑真理子
山﨑真理子

 北大水産学部時代に1年間、練習船に乗って遠洋航海に出ていた船乗り。北海道新聞社に入社後は、社会部の警察担当を振り出しに、網走、帯広、釧路など道内各地で勤務。東京勤務時代は政権交代時の民主党の番記者として、鳩山政権誕生を取材した。2022年4月にTripEat北海道を立ち上げ、初代編集長に就任。千歳支局長を経て、24年3月から旭川報道部長。

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