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2025.12.19

小樽と周辺の食や観光を楽しもう!小樽港に寄港したクルーズ船乗客対象のモニターツアーに参加しました 見どころを紹介します㊦岩内町、余市町編

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

「LOOP」の棚には、北海道産のワインがずらり。愛好者にとっては、垂涎ものの光景です

 小樽港に入港するクルーズ船の乗客を対象にした後志管内を巡るツアーの商品化に向けたモニターツアーが11月中旬に催行され、参加してきました。おいしい農水産物、ジンやワインといったお酒など、飲食が充実し、歴史的な見どころも多い後志。クルーズ船の乗客のみならず、近郊に住む人たちが観光に訪れる際の参考にもなりそうです。積丹町と小樽市を巡った1回目に続き、2回目は岩内町と余市町を紹介します。

荒井記念美術館(岩内町)

ピカソの版画が常時約50点展示されている荒井記念美術館

 岩内町の市街地から車で約10分、岩内岳の中腹の高台にある「いわない高原ホテル」は約2万坪の敷地に、ホテルや会議棟のほか、コテージやクラフトビールブルワリーとレストラン、ピカソの版画を常時約50点展示する美術館まで備えています。

美術館を創設した荒井利三さんの肖像

 ピカソの版画を展示しているのは、荒井記念美術館。いわない高原ホテル代表取締役の荒井高志さんの祖父利三さんが創設。利三さんは東京の出版業界で活躍し、63歳でいわない高原ホテルを開業。岩内につくったのは、有島武郎の小説「生まれ出ずる悩み」を読み、有島武郎と主人公のモデルとなった木田金次郎の師弟愛に感動し、ものがたりの舞台になった岩内町に思い入れがあったためだそう。

 その岩内に「何か残したい」と美術館の建設を構想し、当初は木田金次郎の作品を展示する予定だったのですが、町内で木田の美術館建設の機運が高まったため、手を引きました。そのころ、ピカソの版画188点を所有するアメリカの音楽家ミッチ・ミラー氏と出会い、ミラー氏の「コレクションがばらばらになって売られるより、まとまって展示してほしい」との思いを受け、コレクションを移譲、1989年に美術館が開業しました。現在、美術館が所蔵するピカソの作品は267点と日本最多。年に3回、作品を入れ替え、常時約50点を展示しています。

ピカソの版画が並ぶ展示室

 このほか、隣町・共和町小沢出身の画家、西村計雄のデッサンを含めた84点も所蔵しており、年2回、作品を入れ替えて常時約30点を展示。有島武郎の「生まれ出ずる悩み」をテーマに、北海道ゆかりの画家26人が制作した作品の展示スペースもあります。

 展示作品は入れ替えがあるため、季節を変えて何度も訪れても、新たな作品との出会いを楽しむことができます。岩内にこれだけのピカソコレクションがあることもあまり知られておらず、さらに「なぜ岩内にピカソが」と不思議に思う人も多いかもしれません。知る人ぞ知る、アートの穴場といえるかもしれません。

イワナイブルワリー(岩内町)

イワナイブルワリーの醸造所。レストランも併設しています

 アートを楽しんだ後は、クラフトビールブルワリーのビールの試飲です。敷地内にある「イワナイブルワリー」は、荒井さんが2022年に開設しました。ブルワリーにはレストランが併設されています。

ホップが描かれたイワナイブルワリーのロゴマーク

 実は岩内町はビールの原料であるホップと深い関わりがあります。開拓使のお雇い外国人の科学担当主任トーマス・アンチセルが道内の地質などを調査していた際に、岩内町で野生のホップを発見しました。アンチセルは日本でも将来、ビール産業が盛んになると考え、開拓使にホップの栽培を進言しました。アンチセルが岩内でホップを発見したのは1871年(明治4年)。1871(いわない)という語呂合わせも、何か運命を感じます。

「ホップ発見の地」の碑
碑の周囲にはホップが植えられ、夏になると碑は緑のアーチに彩られます

 岩内町郷土館の前には、「ホップ発見の地」の石碑があります。「せっかくホップとゆかりがあるのに、石碑以外は何もない」と残念に思っていたという荒井さん。2017年に1カ月間、ハワイに留学した際、ワイキキの中心部から車で20分ほどのブルワリーの集積地、カカアコ地区でクラフトビールを飲んだそう。「ビールしかのまない、というほどビール好き」の荒井さんは、ここで飲んだIPAの味が忘れられずにいました。

イワナイブルワリーのビールと使われているホップのペレットや大麦

 その後、コロナ禍でホテルを含めたいわない高原ホテル全体が大打撃を受けました。売上は10分の1以下に。休業状態のなか、ハワイで飲んだIPAを思い出し、「ホップのまちで、ビールをつくちゃおう」と、同じ後志管内のNiseko Brewingで3~4カ月、研修。仕込みも経験し、2022年、イワナイブルワリーを開業しました。

それぞれ気になるビールをついでもらい、乾杯!

 イワナイブルワリーのフラッグシップは4つ。もちろん代表格は愛しのIPA「ホップマシマシ」です。ホップを通常の2倍使用し、ホップのフルーティーな香りと苦みをガツンと楽しむことができます。2つ目はペールエール「モルティ」。麦芽のこくや重み、ホップの香りが感じられるどっしりとした味わいで、初心者にも飲みやすく仕上がっています。

フラッグシップ4種とシーズナル4種の8種類が常時、並びます

 シュヴァルツ「クロポン」は黒ビールで、ローストした麦芽を使った、ナッツやコーヒーを思わせる香ばしい香りが特徴で、コメを副原料に使用し一瞬、日本酒(ポン酒)も感じるできあがりです。ピルスナー「エブリディ」は、さわやかですっきりとしており、冷やしてキレを楽しみたいビールです。

 このほか、岩内町に隣接する共和町の規格外スイカを使ったフルーツIPA「ファーストサマースイカ」やイワナイブルワリーで使うホップを生産してもらっている町内の山本農園で栽培されたブラックベリーを使ったセゾン「ブラックベリーセゾン」など、シーズナリービール4種類をタップにつないでいます。

ビールへの思いを語る荒井さん

 さらに、ホップの絞りかすは山本農園の堆肥にしたり、共和町の酪農業三田牧場の乳牛の餌に混ぜ、その乳牛の生乳でつくったアイスクリームを納品してもらったりと、近隣の生産者との連携も深めています。

 タンクは500リットルが5本、年間製造量は15キロリットル。樽とびん半々で出荷しています。出荷先は岩内町内や周辺がほとんどで、荒井さんは「なるべくここに来て、岩内の景色を見て、飲んでみてほしい。飲んだら温泉に入って泊まって、岩内を感じながら味わってもらいたい」と願っています。

ドメーヌ・タカヒコ(余市町)

醸造所の前の「ドメーヌ・タカヒコ」の看板

 次に、余市の2つのワイナリーを訪ねます。まず向かったのは、フラッグシップワインの「ナナツモリ」が世界的知名度のあるデンマークのレストラン「ノーマ」のワインリストに、日本のワインとして初めて掲載されたことなどで知られるドメーヌ・タカヒコ。通常、ワイナリーやヴィンヤードの見学は受け入れていませんが、今回は特別に曽我貴彦さんが案内してくれました。

畑で、ワインへの思いを語る曽我さん

 曽我さんは一行を畑に案内し、語り始めました。「ワインは農産物です。工場ではなく、農家がつくるもの。みそやしょうゆ、漬物と同じです。農家のつくるみそはおいしいでしょう?大手の工場がつくるみそは毎年同じで均一だけど、本物のみそではない。ワインも同じ。毎年味が変わる、個性のあるワインをつくっています」。

通常は醸造所や畑の見学はできませんが、ドメーヌ・タカヒコのブドウ畑を見渡せる展望台(奥)は無料で開放されています

 曽我さんのワインの大きな特徴は、「だし感」です。繊細なうまみがあり、海産物や和食にも合う、「おだし」の味わい。曽我さんはロンドンに年間500本ほどワインを輸出しており、多くの飲食店ではボトル10万円程度で提供されています。香港やシンガポールの多くのファインレストラン(上質な空間で上質な料理を出す高級レストラン)でも採用されています。曽我さんは「ファインレストランは今、うまみや繊細な味が分かる人が来る場所になっています。世界が日本のうまみにあこがれている。(ボルドーや新世界のワインには)デリシャスはあるけど、うまみはありません」と言います。

今年完成した地下樽貯蔵庫を案内する曽我さん

 そのうまみやだし感をつくり出しているのは、余市のテロワールです。ブドウは雨を嫌うので、チリや北米などのニューワールドでは砂漠でブドウを栽培します。砂漠には虫や病気が少なく、安く大規模経営しやすい利点があります。ただ、曽我さんは「濃さや力強さ、インパクトはあるが、おいしさはない。おいしさは草が生え、微生物がすむ火山性土壌から生まれます。砂漠で有機液体肥料を与えて、同じ環境にしてもうまみは出ません」と話します。

曽我さんが使っているプラスチックタンク。今も果汁が発酵中です

 曽我さんが今、目指しているのは、余市を仏・ブルゴーニュのようなワイン産地にすること。余市町には現在、ヴィニフェラ(ワイン用ブドウ)を作っている農家が100軒ほどあります。曽我さんは「小樽のワインメーカー北海道ワインの年間製造量は、日本有数の年間200万本だけど、小樽は『ワインのまち』とは言われない。でも、年間2万本のワインをつくる小規模農家ワイナリーが100軒あれば、余市は『ワインのまち』になる」と提言します。

 道内で急増しているワイナリーが一般的に醸造に使っているのはステンレスタンク。ただ、ステンレスタンクを1基導入するには100万円ほどかかります。曽我さんが使うのは、農業地域のホームセンターなどで売っている5万円ほどのプラスチックタンク。曽我さんは「ぼくは個人の農家ができないことはやらない。お金をかけず、初期投資1000万円くらいで始められる方法でワインをつくっています」と言います。

樽から試飲用のワインを取り出す高松さん

 実際、曽我さんのもとで研修し、余市でワイナリーを開設した人は6人。2人が開設の準備を進めており、さらに研修中の人も2人います。みんな余市町登地区に移住し、地区の人口減の歯止めとなり、地域を盛り上げることにもつながっています。

 曽我さんの話の後、曽我さんのもとで研修中で、独立の準備をしている高松亨さんが、ワインをサーブし、試飲させてくれました。高松さんは世界最難関のソムリエ資格とされるマスターソムリエを日本人で初めて、24歳で取得。現在世界最年少のマスターソムリエです。高松さんはドメーヌ・タカヒコのワインについて、「100種類のワインをブラインドで飲んだとしても、ナナツモリだと分かる、ほかにはない個性的なワイン」と評します。「最初に飲んだ時は、こんなワインがあるんだと衝撃を受けました」と語ります。

ナナツモリ2022
ナナツモリMVブランドノワール2023

 そのナナツモリのヴィンテージの違いについて尋ねてみました。「来年1月にびん詰め予定の2024年は糖度が上がり、長期熟成させるのに向いています。21年、23年は非常に暑い年で、ナナツモリらしい『繊細なおだし』というのから少し離れた印象ですが、22年、24年は余市らしさ、タカヒコらしさが全面に出ていると思います」と教えてくれました。

 高松さんは来春、1.6ヘクタールの畑に苗木を植え、早ければ29年産のブドウでワインをつくり始める予定です。

平川ワイナリー(余市町)

平川ワイナリーの第1醸造所。果樹園の元運営者が農機具庫などとして使っていたものを利用しています

 次に、平川ワイナリーに向かいます。ここも通常はワイナリー、ヴィンヤードとも見学は受け入れていませんが、この日は特別に迎え入れてくれました。ブドウ畑に案内してくれた代表取締役の平川敦雄さんは「ワインの味わいは畑で決まります。空気、水、光、土、畑の風景を解釈してワインに込め、料理がおいしくなる食のためのワインをつくっています」と話しました。

平川ファームのブドウ畑

 平川さんは農学を学んでいた大学在学中、一流のソムリエを目指そうと22歳で渡仏。ボルドーやブルゴーニュを巡って醸造所で働きながらワインづくりを学びました。フランス農水省の国立技術士養成機関のアグロモンペリエでも学び、ワイン醸造士の資格を取得。シャトー・マルゴーなどでワイン醸造に携わり、ミシュランの星付きレストランでソムリエを務めたほか、南アフリカやニュージーランドなど世界各国の著名なワイナリーにも勤務しました。

日当たりの良い斜面に並ぶブドウの木

 36歳で帰国後、ザ・ウィンザーホテル洞爺のフランス料理店「ミシェル・ブラス トーヤジャポン」(現在は閉店)でソムリエを務めました。そこで余市産ケルナーのケルナーに出会ったことが、平川ワイナリー開設のきっかけになりました。平川さんは「コストパフォーマンスとおいしさは衝撃的でした」と振り返ります。

 北海道ワイン(小樽市)を経て、2014年に後継者のいない果樹農地を引き継ぎ、平川ファームを開設。15年に平川ワイナリーを設立しました。現在は21ヘクタールの敷地のうち、13.5ヘクタールでブドウを栽培し、平川ファーム産のブドウのみを使って、年間約5万本のワインを出荷しています。エチケットはアイヌ文様をモチーフにした十字架で、白と黒のシンプルなデザイン。畑の名前とヴィンテージ、平川さんのサイン入りです。

醸造所に並ぶタンク

 平川さんのワインはすべて単一品種のブドウでつくられていますが、品種名は非公開です。例えば、ケルナーは4区画ありますが、すべての区画で味わいが違うそう。平川さんは「重要なのはどの品種でできているかではなく、どんな土地でできているかということ」と言います。

 さらに、平川さんは1本の木からブドウを1度に収穫するのではなく、何度かに分けてとるそうです。「先に上の方の酸がのったものをとり、セカンドワインやスパークリングにします。下の方のブドウはポリフェノールを多く含み、アロマポテンシャルもあり、後で収穫します」。人手も手間もかかりますが、平川さんのワインのピュアで美しい酸と豊かなアロマは、このこだわりでつくられています。

試飲用に開けてくれた「プレサージュ ロゼ メソード・トラディショナル 2019」
青空と秋のブドウ畑にロゼ色が映えます

 平川さんが、興味深いエピソードを教えてくれました。もともとおいしい果物がとれると評価が高かったこの畑に、1本のクルミの木がありました。とてもおいしいクルミがなり、それを使ったタルトに一番ぴったりとよりそったのが、ここでとれたリンゴでつくったシードルだったそう。土地と自然環境の重要さを感じさせるお話でした。

Yoichi LOOP(余市町)

JR余市駅前にある「Yoichi LOOP」

 2つのワイナリーを見学した後のランチは、JR余市駅前にある「Yoichi LOOP」で、一皿ごとに北海道産ワイン1杯をペアリングしたフレンチのコース。LOOPのメニューには、「ブリ」や「蝦夷鹿」など食材の名前が記されているだけで、料理名は書かれていません。どれも、余市をはじめとした北海道産の旬の素材が生かされています。

アミューズ。笹の葉の中にくず餅が入っており、枯れ葉の上の木の実のようなものがサブレやシュー
キャメルファームワイナリーの「キャメル・ブリュット・メトド・トラディショナル」

 アミューズは「くず餅 香茸 椎茸」で、笹の葉でくるりと包んださっぱりとしたくず餅とキノコの香りのするサクサクのサブレ、シイタケのクリームを入れたミニシューが、大きな枯れ葉や枝をあしらい、秋の森の中に木の実やキノコが落ちているかのように盛り付けられています。ワインはキャメルファームワイナリーの白泡「キャメル・ブリュット・メトド・トラディショナル」。ピノ・ノワール100%のブランドノワールで、泡が細かくさわやかなのどごしです。

落葉キノコのコンソメスープ
フィールド・オブ・ドリームスワイナリーの「パストゥグラン2024」

 スープは「ハナイグチ」。落葉キノコ(ハナイグチ)を使ったコンソメスープで、ヒグマの肉が入っています。松の葉を敷き詰めた器の中にスープの器が置かれており、スープの温度で温められた松の葉がふわっと香り、森の中にいるような気持ちになります。スープはスターアニスのようなスパイスのほのかな香りとキノコの強いだし感があり、ヒグマの肉の味の濃さとマッチします。ワインはフィールド・オブ・ドリームスワイナリーの赤「パストゥグラン2024」。ピノ・ノワール70%とツヴァイゲルトレーベ30%で、柔らかな口当たりです。

絶妙な火入れの真ダチ
平川ワイナリーの白「セレーヌ グランドキュベ2023」

 次は「白子」。発酵レモンとライムの香りをまとわせたクスクスの上に絶妙な火入れの真ダチがのせられています。平川ワイナリーの白「セレーヌ グランドキュベ2023」と合わせます。少し緑がかったレモンイエローで、甘みの後にさわやかな酸がきます。ちょっととろっと感じるテクスチャーがクリーミーな白子にぴったりです。

ビーツペーストを添えたブリ
千歳ワイナリーの「北ワイン ピノノワール」

 続いて「ブリ」。焼き目を付けたブリに添えられたのは、薄くスライスして赤く色付けした大根やナメコ、ビーツペースト。紅葉した庭園のように鮮やかな見た目で、タイのだしをバイマックルで香り付けしたソースでいただきます。脂ののったブリとバイマックルのさわやかさ、ビーツのまろやかさとそれぞれの味が調和します。ペアリングは千歳ワイナリーのロゼ「北ワイン ピノノワール」。こくと軽やかさがあり、赤と白の「いいとこどり」のワインです。

蒸し焼きにしたメヌキ
えべおつワインの「デアシンマー2023 ほのか」

 次も魚で「メヌキ」。脂ののった身を蒸し焼きにし、ホウレンソウのリゾットが添えられています。蒸し焼きにすることで、ほどよい脂加減になったメヌキと、こくのあるチーズ入りのリゾットがぴったり。リゾットは姫レモンの香りがして、ちょっとエスニックな雰囲気もあります。ピノ・ノワールとピノ・グリ、ピノ・ブランの3種のフィールドブレンド、えべおつワインの白「デアシンマー2023 ほのか」と合わせました。

蝦夷鹿のヒレ肉のグリル
ドメーヌ・タカヒコの「ヨイチノボリ パストゥグラン 2022」

 肉料理は「蝦夷鹿」。ヒレ肉のグリルで、フォアグラのソースが添えられます。しっかりめにコショウをきかせ、赤身肉のしっかりとした味をシンプルに楽しめます。ドメーヌ・タカヒコの赤「ヨイチノボリ パストゥグラン 2022」はピノ・ノワールの繊細さとツヴァイゲルトレーベのタンニンで深みのある味わいです。

ぽろたんのパイサンドとラムアイスクリーム
千歳ワイナリーの「ケルナーレイトハーベスト2021」

 デザートは「ぽろたん」。ぽろたんはクリの品種で、ポロッと皮が剥きやすいことから名付けられたそう。クリペーストとラムレーズンをパイではさんだものは、キャラメリゼしたパイのサクサク感と塩味、まろやかで温かいクリペーストは相性抜群。添えられたラムアイスクリームもぽろたんとぴったりです。これにもワインを合わせます。千歳ワイナリーの白「ケルナー レイトハーベスト2021」。収穫を1カ月遅らせて完熟させたケルナーを醸しており、上品で繊細な甘口です。

この日、サーブされたワイン

 実際にクルーズ船が小樽港に入港する場合、乗客が船を離れて観光するのは朝から夕方までの1日だけ。今回のツアーで巡った場所のいくつかを組み合わせたり、どこか1カ所の目的地を定めて訪ねることになるかもしれません。小樽運河周辺やまちなかには観光名所がたくさんありますが、それだけではなく、後志管内には見てみたい、食べてみたい、体験してみたいスポットがたくさんあります。北海道に住んでいる人にとっても、ドライブやお出かけの参考になるかもしれません。

 モニターツアーは、小樽港に入港するクルーズ船の乗客を対象にした後志管内を巡るツアーを商品化することが目的で、11月中旬に催行されました。閑散期の道内観光の隠れた魅力を引き出し、地域活性化につなげようと、北洋銀行が主催。関連産業の裾野が広い観光分野で新たな収益源を開拓する狙いで、同行がモニターツアーを実施するのは、昨年9月に一般市民を対象にしたツアーに続き、2回目です。今回は「飛鳥Ⅲ」などの郵船クルーズ(横浜市)と「MSCベリッシマ」を運航するジャパネットツーリズム(福岡市)、旅行代理店の担当者らが参加しました。北洋銀行は「まだ知られていない地域の魅力や体験価値を知ってもらい、新たな寄港地ツアー造成につながるとうれしい」としています。

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

トリップイート北海道

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