
七飯町の小野養鶏場の鶏が産むこだわりの卵「おのたま」を使った焼き菓子「たまごぼーろ」が、札幌のセレクトショップなどで好評を得ている。菓子の生産は函館市の就労継続支援B型事業所「工房・虹と夢」が担っており、両者は「農福連携の取り組みを続け、道南の食を発信したい」と話している。
小野養鶏場は、特別支援学校の元教員の小野美孝(よしゆき)さん(48)が2020年8月に立ち上げ。純国産鶏の「岡崎おうはん」と「あずさ」を地元や道産の素材を使った飼料で飼育している。幅広い世代に親しまれる菓子を作ろうと、開業後すぐに知人を介して同事業所にボーロの生産を依頼。同年11月にオープンした直売所「里山楽房(らぼ)」で販売を始めた。
知名度向上のきっかけは、22年から札幌市中央区の商業施設「マルヤマクラス」に入る青果物のセレクトショップ「フレッシュファクトリー」で取り扱いが始まったこと。1袋50グラム入りで600円と高価だが、保存料を使わない点や、一つ一つ手作業で丸めて焼くといったこだわりが、食に関心を持つ層に受け入れられたという。
生産量は2カ月で約30袋と少ないものの、同事業所サービス管理責任者の佐藤雅代さん(56)は「さまざまな商品を作っているが、たまごぼーろのように安定して売れ続けるものは少なく、人気を感じる」と話す。賞味期限も1年ほどと長く、本年度の農林水産省の表彰事業「フードシフトセレクション」で「家庭備蓄に適した商品」として評価された。小野さんは「災害時にもほっとできる食べ物。農福連携の促進にもつながれば」と喜んだ。(鹿内朗代)
(北海道新聞2025年12月6日掲載)


