
【三笠】市達布地区にワイナリーを構える「ハマダヴィンヤード」が、オーナーの急逝で約2年前に閉店した市萱野地区の「畑の中のレストラン EKARA(エカラ)」を引き継ぐ。定評があった三笠産の野菜を使った料理に加え、チーズ工房を新設し、自社のワインやチーズを提供する。来年4月下旬~5月上旬のオープンを目指す。同社は「宿泊施設もあり、地域交流の拠点にしていきたい」と話している。
エカラは市内の農家、故鈴木秀利さんが農村での交流人口の増加を目指して2019年に開業した。主に三笠で採れた旬の野菜を使い、丁寧に調理された料理が人気だった。レストランに併設して宿泊施設が2棟あり、それぞれ最大4人が利用できた。しかし、23年12月に鈴木さんががんで急逝し、店を閉じた。
ハマダヴィンヤードの浜田玲央さん(31)らはエカラのシェフだった金子智哉さんや鈴木さんと親交があり、「将来レストランなどもやってみたいとの思いがあり、エカラは目指したい姿の一つだった」。エカラの引き継ぎ手が現れなかったことから、ハマダヴィンヤードが継ぐことに決め、今年9月に手続きが完了したという。
エカラの閉店後、旭川市で働いていた金子さんもシェフとして戻る。新設の工房では、金子さんの知人のチーズ職人がチーズをつくる。市内の鈴木さんの約5ヘクタールの農園も引き継ぎ、コメや野菜を育て、レストランでも提供するという。レストラン内に試飲スペースを設け、自社ワインも販売する。
宿泊施設では農泊も受け入れ、宿泊者は醸造用ブドウ畑での作業を手伝うことも可能。今後改装し、ゴールデンウイークのオープンを目指す。浜田さんは「地域の食材を生かし、地域の生産者とつながる拠点を目指したい。市外からの旅行者には、また来たいと思える地域にしていきたい」と話している。(高木緑)
(北海道新聞2025年12月4日掲載)


