【浦河】ひだか東農協と町が、浦河産黒毛和牛の地元での知名度向上や消費拡大に取り組んでいる。浦河産の肥育和牛は有名ブランド「みついし牛」として主に首都圏に出荷されている。しかし、地元では浦河が生産地の一つだと知られていないことが課題だった。同農協は町内で経営するスーパーで肉の販売を始めたほか、町のふるさと納税の返礼品に加えるなど、和牛生産地としての浦河をPRする狙いだ。
「みついし牛」は新ひだか町三石地区を中心に、浦河、えりも、新冠の計4町で生産されている。
このうち、浦河町内で肥育される黒毛和牛は、9割以上がA4等級以上の高い格付けがされている。同農協農畜産販売課の中山大悟課長は「浦河の肥育和牛は『みついし牛』として流通し、地元でもイベント時以外は販売していなかったこともあり、浦河でも生産されていることは意外と知られていない」と話す。
地元の名産品を地域住民に広く知ってもらうため、同農協のAコープ荻伏店は今月4日から、商品の取り扱いを始めた。ステーキ用200グラムや、焼き肉用300グラムなど4種類(いずれも1点3780円)を取りそろえた。同店の酒井学店長は「脂肪と赤身のバランスに優れ、うまみを楽しめる。これから本格的に寒くなるので、すき焼き用などで購入の動きが出てくるとうれしい」と話す。
このほか、同農協は町のふるさと納税返礼品にも和牛の食べ比べセット(寄付額4万5千円)を登録。町内だけではなく、町外にも魅力を発信する構えだ。
町も、こうした動きを後押し。同農協の和牛販売促進事業への補助として本年度一般会計予算に100万円を計上した。同農協は補助金を活用し、店頭で販売する商品のパッケージやロゴの作成などを手掛けた。
町は和牛の地元消費を高めることで、将来的な町の産業振興にもつなげる考えだ。町産業課の長崎哲之課長は「地元での消費が広がると生産者の励みになり、新規就農者の増加につながることも期待される。良質な肉を町内外の人に知ってほしい」と強調している。(和田樹)
(北海道新聞2022年10月20日掲載)