伊達市大滝区で自家製蜂蜜を取り扱う「花カフェアイバレー」の姉妹店として、「アイバレー宮の森店」(札幌市中央区宮の森2の7)が10月10日にオープンしました。店主の藤井祥未(しょうみ)さん(29)が、大滝特産の果実アロニアを使った「赤いはちみつ」をはじめ、スイーツやドリンクを提供しています。(ライター・西村さちこ)
「花カフェアイバレー」は祥未さんの母石川淳子さん(65)が経営。店舗周辺に咲く数百種類の花にミツバチが集まるのを見て、蜂蜜とアロニアのブレンドを発案しました。
「北のスーパーフード」ともいわれるアロニアは、目に良いとされるアントシアニンや抗酸化作用のあるポリフェノール、食物繊維などを多く含んでいますが、生の果実は苦みや渋みがあるため砂糖を入れて加工することが多く、「その糖分を蜂蜜で」と考えました。鹿児島県屋久島在住のドイツ人養蜂家から学び、敷地内で養蜂、採蜜した天然の蜂蜜を商品化。その中の一つ、「赤いはちみつ」(48グラム1300円、140グラム2500円)はアロニアの美しい赤色で、さらりとした食感とフルーティーな香りが特長です。
後味にほんのり甘みが残り、「今まで食べたことがない蜂蜜を味わってもらえるはず」と祥未さん。店内でテイスティングができるほか、カフェスペースでは、アロニアを使ったドリンクやスイーツが楽しめます。
店名の「アイバレー」は、祥未さんの祖母で染色家・アイヌ文様刺しゅう研究家石川愛子さんの愛称。共に制作活動をしていた彫刻家砂澤ビッキが命名しました。店内には、愛子さんが作ったタペストリーや着物が展示され、染めの色や一針一針の美しさを間近で見ることができます。
「祖母の作品を展示し、故郷大滝のアロニアを紹介するギャラリーカフェを作りたい」という祥未さんは仕事を辞めて、「日本はちみつマイスター協会認定アドバイザー」を取得しました。
店舗の内外装に、ミツバチが冬を過ごす屋久島の屋久杉をふんだんに使用。扉の中央にはめ込んだアイヌ文様の木彫は、東京五輪でアイヌ舞踊を披露した、日高管内平取町二風谷在住のアイヌ工芸作家貝澤太一さんによるものです。
愛子さんは今年7月、92歳で逝去。「この店を見てほしかった」と惜しむ祥未さんは、「アイバレー(愛子さん)がやってきた全てを札幌でも続けたい」と話し「アロニアとアイヌ文様という、祖母と母が守り続けてきたものをつないでいきたい」と、刺しゅう作品制作にも取り組んでいます。
午前11時~午後6時、不定休。電話011₋215₋9427。
(北海道新聞地域情報版「さっぽろ10区」11月1日掲載)