【沼田】町は本年度から、新たな特産品としてクラフトビール造りを本格化させる。2020年に着任した地域おこし協力隊員の村上信吾さん(45)が開発を主導。本年度は試飲会などで味を検討し、24年度までに「地元に愛されるビール」の完成を目指す。
町は雪中米やトマトジュースに代わる新たな特産品造りや産業の創出を目指し、北空知地方にはないクラフトビールの開発を計画。本年度予算には町民にクラフトビールを親しんでもらうための試飲会を行う「クラフトクラブ」の設置や、大雪地ビール(旭川)への醸造委託費など計470万円を計上した。
村上さんは紋別市出身。コンサルタント会社勤務や都内でのレストラン経営などを経て、20年7月に着任。現在はJR石狩沼田駅を拠点に活動している。道内の醸造所や東京農大オホーツクキャンパスでビール造りを学び、醸造免許取得に向け準備を進めている。「一過性のブームではなく、町民に長く飲まれていく味を目指したい」と意気込む。
5月2日には第1回「クラフトクラブ」が開かれ、町民19人が参加。大雪地ビールが作ったヴァイツェンやIPA(インディア・ペールエール)など11種類のクラフトビールを飲み比べ、委託醸造するビールの方向性についてアンケートを行った。
会場を貸した「スナック赤と黒」のオーナー三浦実希さん(58)は「種類ごとにいろんな癖があったが飲みやすかった。ビールをきっかけに町おこしにつながれば」と村上さんの背中を押す。
アンケートを踏まえて5月中旬に千リットル分を大雪地ビールに発注。納品されたビールは町内のビールパーティーや「夜高あんどん祭り」で売り出す予定だ。最終的には町内での醸造、販売を目標にしている。(斎藤雅史)
(北海道新聞2022年5月12日掲載)