北海道で漁獲が増えているブリを活用しようと、北見市常呂町の漁師らでつくる「マスコスモ合同会社」と首都圏の企業が協力してブリを使った丼などの冷凍食品4品を開発した。常呂から送ったブリの品質の評価は上々で、来年以降の取引も決まり、今後の消費拡大につながりそうだ。
商品は「ブリのちゃんちゃん焼き」や「ブリトロ漬け丼」など。2022年11月に発売し、東京・豊洲で魚の仲卸販売をする「鈴富」の大丸東京店で販売している。
オホーツク管内では、マスやサケの定置網で混獲されるブリが増えている。2021年の管内の漁獲量は567トン。12年に初めて200トンを超え、年により増減があるものの増加傾向にある。
一方、道内にはブリを食べる習慣があまりなく、消費が進んでいないという課題がある。そこで特殊冷凍機を販売するデイブレイク(東京)や、同社の冷凍機を導入しているマスコスモなどが共同で、常呂産ブリを使った冷凍食品の開発を企画した。
マスコスモのメンバーで現役のサケ漁師の川口悟史さん(34)が船上で活締めしたブリをさばき急速冷凍。これまでに試作用も含め600キロ弱の身を送った。マスコスモ代表の柏谷晃一さん(37)は「東京で、本州の寒ブリなどと比べても品質に遜色はないと言われ自信になった」と話す。
商品のレシピは東京・麻布の高級すし店「鮨(すし)心」が監修。ブリが取れ始める8月から試作を繰り返し、製造は神奈川県の仕出しやケータリングを行うイズミ産業が担った。
22年11月に売り出した商品の評判はよく、常呂産ブリは今後、イズミ産業の弁当の一品などにも使われる予定だ。マスコスモは魚離れを食い止めることをモットーに漁業の6次化に取り組んでおり、柏谷さんは「オホーツクの魚を東京で食べて評価してもらえてうれしい。今後の消費拡大に期待が持てる」と話している。(沼田麻緒)
(北海道新聞2022年12月23日掲載)