【乙部】町元和(げんな)の漁業、町中達成さん(32)が、軽トラックを改造して団子の移動販売を始めた。昨年、手がけていた養殖ホタテが大量死し、一時は漁業をやめようと考えたが、取引先の要望もあって思いとどまり、団子販売で収入を補うことにした。1月29日の町内のイベントで本格的に販売を開始し、新たな一歩を踏み出した。
乙部出身の町中さんは函館水産高を卒業後、地元に戻って家業の町中漁業部に入った。昨年、主力の養殖ホタテの約8割が大量死し、収入が半減。大量死の原因は分からず、ウニやナマコの漁獲量も減少傾向だったことから、将来への不安から転職を検討した。
そんな時、取引先から「町中さんのホタテは抜群においしい」と声をかけられ、「ここで僕が手を引くとホタテを届けられなくなる」と思い直した。ただ安定収入が見込めない状況は変わらず、軽トラックを改造したキッチンカーでの移動販売を思い立ち、子どもから大人まで手頃に食べられる団子に着目した。
焼く前まで調理した直径5センチの大玉の団子を仕入れ、味はごま、あんこ、みそ、しょうゆの4種を用意した。小豆は厚沢部産で、ごまだれの材料には乙部産ハチミツを使用し、キッチンカーで丁寧に焼く。1串(3個)400円。うさぎのように人気が跳ねることを願い、キッチンカーは「しろうさぎ」と命名した。
1月29日のイベントでは予想以上の売れ行きで、町中さんは「多くの人に『大きい』と言ってもらえてうれしかった」と手応えを感じたという。「昨年は大変な1年だったが、自分を見つめ直すことができた。対面販売での会話をきっかけにホタテや乙部に興味を持ってもらえれば」
移動販売は不定期で、専用のインスタグラム(@shirousagi_dango)で発信している。問い合わせは町中さん、電話080・3234・1984へ。(宮崎将吾)
(北海道新聞2023年2月17日掲載)
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