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2023.03.17

From北海道新聞

〈これが旬!〉越冬ジャガイモ 甘さ濃厚*後志管内俱知安町*低温・高湿貯蔵を徹底

北海道新聞記事
北海道新聞記事
俱知安町の本間松蔵商店の選果場で、ジャガイモに傷がないかなどを一つ一つ人の目で確認していく選別作業の様子
選果場では、ジャガイモに傷がないかなどを一つ一つ人の目で確認していく。選別作業は今の時期にピークを迎える=3日、俱知安町の本間松蔵商店(畠中直樹撮影)

 ジャガイモは北海道を代表する秋の味覚の一つ。しかし「グンとおいしくなる」と農業関係者が声をそろえるのは、収穫から一冬を越して春の足音が聞こえてくる今頃の季節だ。道内有数の産地・後志管内俱知安町を訪ね、越冬ジャガイモの魅力に迫った。

 3日午前、今年で創業103年のジャガイモ卸「本間松蔵商店」の貯蔵選果場では、20人近い社員やアルバイトが選別や箱詰め作業に追われていた。「今の時期が作業のピーク。1日約20トンを選別する」。本間浩規(ひろみ)社長(40)はそう語る。

 関東の市場を中心に、道内の市場やスーパーなど年間出荷量は合わせて約2千トンに上る。一年を通して出しているが、月別では3月が最も多い。

 この日、扱っていた品種は「きたかむい」。主力の「男爵」と比べて病気に強く、歩留まりも良いことから近年、作付けが増えてきている。ようてい農協(本所・俱知安町)によると、2022年の町内の作付面積は150ヘクタールで、男爵に次いで2番目に多かった。

 本間社長は「越冬すると最も味が乗る品種。しっとりした舌触りとともに、驚くほどの甘みを感じられる」。同商店では収穫したばかりの頃は、出荷しないこだわりを見せる。

 ジャガイモは温度が高くなると発芽し、日光に当たると皮が緑色がかる「緑化」が起こる。これらを防ぎ、深い味を引き出すには徹底した管理が欠かせない。

 同商店は通常の貯蔵庫のほかに、約600トンを収容できる「雪室低温貯蔵庫」を所有する。雪と電気の冷蔵設備を使うことで、年間を通じて庫内の室温を2~5度、湿度を80%以上に保つことができる。日光を入れないように窓がなく、貯蔵庫からイモを出す際にはシャッターの開閉時間を最小限に抑えている。

 ジャガイモは収穫後も呼吸しているため、真冬の最低気温が氷点下20度前後まで下がる俱知安でも「貯蔵庫のイモが凍った経験は一度もない」(本間社長)。半面、これから気温が上がってくると、庫内を冷却しなくてはならない。

 3月中には庫内に300トンの雪を入れ、気温が上がるにつれて電気の冷蔵設備を併用する。豪雪地帯という地の利も生かし、理想的な環境で貯蔵したジャガイモを食卓に送り出している。(森井泰博)

 本間松蔵商店で扱う越冬ジャガイモは現在、きたかむいのほか男爵、とうや、さやかがあり、個人でも購入できる。申し込み、問い合わせはホームページ(http://www.matsuzou.jp)または電話0136・22・0121(平日午前9時~午後5時)へ。

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*高い糖度 揚げ物はゆっくり加熱

越冬ジャガイモの味が引き立つ料理4品。右上から時計回りに「白いポテトサラダ」「フライドポテト」「ジャガイモのチーズと塩辛のせ」「いも餅」
越冬ジャガイモの味が引き立つ料理。右上から時計回りに「白いポテトサラダ」「フライドポテト」「ジャガイモのチーズと塩辛のせ」「いも餅」(畠中直樹撮影)

 「新じゃがのようなホクホク感や香りはない半面、しっとりとして濃厚な甘みとうまみがある」。本間松蔵商店取締役で、本間浩規社長の母親本間珠美さん(63)は、越冬ジャガイモの魅力を語る。

 越冬ジャガイモはでんぷん質が糖化し、糖度が高い。「調理の際は、この特徴を意識することが大事」

 高温の油で調理すると焦げ付きやすいため、珠美さんは「フライドポテトは『揚げる』というより『水分を抜く』イメージ。160度くらいの低温でゆっくりと加熱して」と説明する。品種は煮崩れしにくい「きたかむい」を選択した。

 多彩な品種を扱うジャガイモ卸らしい一品が、主にコロッケなどの総菜に加工される品種「さやか」で作った「白いポテトサラダ」だ。「くせがなく、どんな料理にも使える」

 細かくちぎったはんぺんを入れて風味を出し、旬の山ワサビをすり下ろして加えアクセントをつけた。ポテトサラダにありがちなマヨネーズの主張が感じられず、口の中に春風のような軽やかな味わいが広がる。

 いも餅には滑らかな食感の品種「とうや」、チーズをのせて焼き、塩辛を合わせたイモには定番の「男爵」を使った。

 越冬ジャガイモは常温で保管すると、発芽しやすい上、急速に糖度が下がって食味が悪くなる。珠美さんは「必ず冷蔵庫の野菜室で保管し、早めに食べて」と注意を促す。(森井泰博)

(北海道新聞2023年3月16日掲載)

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