【留寿都】村内の養豚業「ルスツ羊蹄ファーム」が、北広島市に開業したプロ野球北海道日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」内に飲食店「ルスツ羊蹄ぶた」を出店した。後志管内以外への出店は初めてで、自社精肉を調理したカツサンドなどが好評を得ている。同社は豚肉の生産、加工体制を強化し、6次産業化に注力していく。
同社は村内の「道の駅230ルスツ」内に2019年に店を構え、観光客の人気を集めてきた。エスコンフィールドで管内企業が営業するのは「羊蹄ぶた」のみ。ヒレカツサンド(4切れ入り1200円など)やロースカツカレー(1200円)、球場限定のヒレザンギ&ポテト(900円)を提供し、試合当日は最大1時間待ちの行列ができるという。売上額などは非公表だが、同社は「カツサンドの売り上げは道の駅店の10倍近い。ヒレ肉の供給が追いつかないほど」とする。
球場はサウナやホテル、飲食スペースなどの商業施設を備え、全国的に注目が集まる。藤田博勝社長は「全国からの来場者に自慢の製品をPRでき、消費者の声も直接聞ける。留寿都への観光客増にもつなげたい」と意気込みを語る。
同社は1986年創業で、年間3万1千頭の豚を生産している。エスコン出店のように近郊、札幌の居酒屋などへ販路を広げる中、生産基盤の安定にも取り組む。豚の年間生産頭数を本年度中に現状の約1・3倍にあたる4万頭に拡大する考えで、肥育農場を1カ所増やし計2施設とした。
また、村外に委託している食肉加工について、本年度にも自社加工場を村内に整備し、自社製品の付加価値向上も図る。力石明・同社事業本部次長は「生産から加工まで一貫して行うことで、肉の特性を生かした独自の商品開発を展開しやすい」とする。豚肉の国内消費が落ち込む中、タイやシンガポールなどへの海外輸出も視野に入れており、藤田社長は「生産、加工の能力を上げて自社のブランド力を高め、幅広い消費者に商品を届けたい」と話す。 (加藤遥花)
(北海道新聞2023年4月25日掲載)