朝からしっかりと、そして美味しいごはんが食べたい―。職場や学校に向かう前に、観光で札幌を訪れた際に、そして「たまには早起きして朝から外食をしてみようか」という方に、札幌市内で早朝から営業している、おすすめのお食事どころ4店をご紹介します。
目次
カニ、ウニ、真だちも使う中央市場の中華
朝から中華 まんふく
札幌桑園地区の西、早朝からトラックや小型運搬車「ターレ」が行き交い、活気あふれる〝札幌の台所〟「札幌市中央卸売市場」。この場内に立つ丸果ビルの2階に、朝から昼まで本格中華が食べられる店があります。2024年2月9日にオープンした、その名も「朝から中華 まんふく」です。実はこちら、2021年4月に、〝布袋式ザンギ〟や〝麻婆麺〟などでおなじみの札幌の有名店「布袋」の支店(中央市場店)が、2023年12月いっぱいまで営業していた場所。そこで料理長を務めていた佐藤茂さんが独立し、「まんふく」を開店させました。
メニューは布袋市場店で人気だったものをブラッシュアップさせ、新メニューも加わっています。相変わらず人気のザンギは、衣が軽めな佐藤さんのレシピに変更。そんな中で佐藤さんがお薦めしてくれたのは「蟹チャーハンのウニふわふわあんかけ」です。
ズワイガニのむき身がたっぷり入ったチャーハンの上に、ウニでだしを取ったスープと卵白のメレンゲを合わせたあんがかかった一皿。カニとウニが醸し出す芳醇な海の風味と、あんとチャーハンに包まれた卵の甘みが調和した、優しくも深みのある味わいです。「値段的には贅沢な一品ですが、結構オーダーをいただいています」と笑顔で語る佐藤さん。
佐藤さんは、札幌グランドホテルで中国料理を修業した後、一時独立。その後、「布袋」の姉妹店「寿司・中国料理 福禄寿」、「布袋 中央市場店」の料理長を経てきた経験豊かな料理人。特に魚介のだしを利かせ、油分は控えめで仕上げる海鮮中華が得意で、新鮮で質のいい食材が手に入る立地を生かしたメニューが評判です。
秋から冬の間だけ登場する「真だちの麻婆」は、前の店から人気を誇る佐藤さんのスペシャリテ。鮭の風味に香ばしさも広がる「鮭とばチャーハン」という珍しい一品や、定番の「カニチャーハン」や「エビチリ」もひと味違うのでぜひ味わってほしいおすすめです。
朝8時〜午後2時まで営業する同店には、朝早くから仕事をする市場関係者が朝の空腹を満たしに来たり、SNSなどで情報を仕入れた観光客がお土産購入の後、早めのランチに訪れたり、ビジネスマンや近隣住民がお昼ごはんを食べに来たり。営業時間中、客足は絶えることがありません。麺類やご飯ものの単品、定食は1000円前後から。町中華ならぬ〝市場中華〟を朝から満喫してください。
住所…札幌市中央区北12条西20丁目1-20 丸果ビル2F |
電話…011・213・8084 |
座席…30席 |
営業時間…午前8時〜午後2時(L.O.午後1時45分) ※水曜は午前11時〜 |
定休日…日曜、祝日 |
駐車場…あり(午前9時〜、さっぽろ朝市駐車場利用可) |
※料理のお値段は変動する場合があります。 |
やわらかくホロリ、温かいおにぎり
名代にぎりめし
繁華街すすきのの中心部に1958年(昭和33年)に建てられた5階建ての建物。1階には主にすすきので商売をする飲食店が顧客の市場「すすきの市場」があります。この建物の西角にお店を構えるのが、24時間営業のおにぎり屋さん「名代にぎりめし」。
朝はすすきので働く仕事終わりの方や、これから出勤という方が朝ごはんを求め、日中はビジネスマンがランチに、深夜は飲んだ後の〆や最後の1軒として飲んで帰る方もいるなど、まさに24時間、さまざまな利用客が後を絶たない人気ぶりです。サクッと軽くお腹を満たして観光に出かける、道内外や海外からの観光客の姿も目につきます。
現在の場所に移ってから20年以上続く同店。ファストフード的な出来あいのおにぎりとは異なり、ほんわか温かい出来立て、手握りにこだわっています。多彩な具材があり、それぞれ白飯の「塩にぎり」か名物の「醤油にぎり」か好きな方を選ぶことができます(一部どちらか一方という種類あり)。
握り方ひとつで味が変わるといわれるおにぎり。本間直也店長に同店のコツを伺うと「やわらかく握って、海苔でしめるイメージ。口の中でホロリと解ける感じがベスト」とのお答え。注文を受けてから握るので、「仕事で疲れた方から、少し塩を強めに」といったリクエストにも応えているそうです。
おすすめの2種類を教えていただきました。まず一つが不動の人気「たらこバター 醤油にぎり」。たっぷり入ったたらこバターに驚くやらうれしいやら。甘じょっぱい醤油ごはんとの相性が抜群によく、おいしさは言わずもがなです。
もう一つが「卵黄の味噌漬け(醤油にぎりのみ)」。玉子の黄身を味噌ダレに漬けた、トロンとした食感と旨みが、こちらも醤油ごはんにぴったりです。汁物といえば「とん汁」。良く熱が通ってやわらかな大根と、香りのいい皮付きゴボウが特にゴロゴロ入り、具だくさんがうれしい気分になります。
店内はカウンター席のほか、ボックス席が2卓。イートインの出入り口とは別に、テイクアウトカウンターが設けられています。多彩な総菜も取り揃え、各種おでんはほぼ通年提供。朝からサクッとでも、バランスよくしっかり食べることも可能なのです。
住所…市中央区南6条西4丁目 すすきの市場西角 |
電話…011・512・1616 |
座席…カウンター5席、ボックス席2卓 |
営業時間…24時間 |
定休日…年末年始 |
駐車場…なし |
手間ひまかけて手作りする沖縄ソウルフード
沖楽パーラー ハッピータコライス
羊ヶ丘通を北広島方面に進み、右折すると札幌国際大学に着く交差点角に立つビルに入る「沖楽パーラー ハッピータコライス」。2023年3月21日にオープンした沖縄ソウルフードのタコライスやタコス、ブリトーを味わうことができるお店です。近くには札幌ドームがあり、滝野すずらん丘陵公園や平岡公園に向かうルート沿いでもあるので、朝ごはんはもちろん、行楽の途中に立ち寄るのもおすすめです。
店名にもなっている看板メニュー「ハッピータコライス」は、沖縄由来のスパイスを含む10種類ほどのスパイスなどで合挽肉を炒め、1日寝かすことで味をなじませたオリジナルタコミートとチーズ、野菜をのせたスパイシーなごはん。タコミートは〝多幸ミート〟とラッキーなネーミングが付けられています。ちなみに現地沖縄には「多幸寿(タコス)」という元祖沖縄タコスの店があるそうです。
この多幸ミートを使ったもう1品が「タコス」。トウモロコシ粉で作った手作り生地の皮(シェル)に多幸ミート、チーズ、野菜をはさんだスナックフード。発祥のメキシコでは焼いた皮が一般的ですが、沖縄タコスは揚げ皮が定番。出来立ては外側がサクッとして内側はモッチリ食感が楽しめます。
ちょっと珍しいメニューが「ブリトー」。こちらは小麦粉を練って薄く伸ばして焼いた皮を使用しています。圧力鍋でほろほろになるまで煮込んだ豚バラ塊肉や鶏モモ肉、チーズ、野菜、さらにケチャップライスを、皮でクルクルっと巻いたボリューミーな一品。沖縄中部・北谷町の海沿いにこのメニューを提供する店が多く、近くの米軍基地関係者に愛されているそうです。
これら3品ともにトマトベースで酸味はなくピリ辛のオリジナルホットソース付き。お好みで使用すると、いいアクセントになります。
こちらのオーナー小山内基(もとし)さんと妻の紗綾乃(さやの)さんは小樽生まれの同級生。基さんが20代前半の時、沖縄でスキューバダイビングのインストラクターを経験したことがきっかけで沖縄フードのお店を始めたそうです。出店前にレシピを独学で研究し、沖縄出身の人にアドバイスをもらったり試食してもらい、お墨付きをいただいて出店。「まだまだ進化中なので、どんどんおいしくなりますよ!」と紗綾乃さんはニッコリ。
住所…札幌市清田区清田2条1丁目14−14 清田山田ビル1F |
電話…011・802・5997 |
座席…21席 |
営業時間…午前7時30分〜午後6時(L.O.午後5時30分)、土曜は午前11時〜 |
定休日…日曜、他不定休有 |
駐車場…共用5台 |
朝から食べ放題でがっつり焼肉
牛乃家 本店
〝肉食系〟におすすめの、午前中からがっつり焼肉が堪能できるお店が「牛乃家(うしのや) 本店」。札幌市内中心部、狸小路にほど近い場所で、午前9時30分から深夜午後11時(週末は0時)まで通し営業。時間を問わず、焼肉が食べたい時に開いているという、ありがたい営業スタイルです。特に「朝焼肉」という斬新な取り組みが好評で、開店から数10分で満席になる日もある人気ぶりだそうです。
せっかく食べるなら「モーニング焼肉食べ放題」を。塩ホルモン、豚カルビ、鶏モモ、生ハツ、豚レバー、野菜など全18種類が60分間食べ放題で、なんと1078円というリーズナブルな値段。ごはんやホルモンスープも食べ放題です。
岩見沢の精肉店から新鮮な肉を仕入れ、職人が手間ひまかけて手切りしているという本格派。特に人気なのが塩ホルモン。「食べ放題でなくても」という方には「ホルモン定食」539円がおすすめです。
住所…札幌市中央区南2条西4丁目 ラージカントリービル1F |
電話…011・232・5329 |
座席…34席 |
営業時間…午前9時30分〜午後11時、金・土曜〜翌午前0時 |
定休日…なし |
駐車場…なし |