【仁木】青果卸の山内二興青果(余市町)は、仁木町産の完熟サクランボをおいしさのピークで収穫し、24時間以内に航空便で発送するため、インターネット上で資金を集めるクラウドファンディング(CF)に挑戦している。CFならではの宣伝効果を背景に全国発信するのが狙い。農家に代わり社員が箱詰め作業を行い、労働力不足解消の一助にとの思いも込める。
CFは、青森県産リンゴなどを道内外に配送している同社営業部長の山内健生さん(35)が昨年、町内産の旬のサクランボを食べ「こんなにおいしかったんだ」と感動したのがきっかけ。「サクランボと言えば山形が有名だが、冷涼で寒暖の差が大きい仁木町も栽培適地。赤く色づいたもぎたてを多くの人に食べてほしい」と発案した。
仕事でつき合いのある町内の果樹園「チェリーハントインオオクボ」の大久保俊哉さん(58)に協力を依頼。4月に専用サイト「キャンプファイヤー」に事業を掲載したところ評判に。9日現在で出資者80人から75万円超が集まった。
一方で生産者の高齢化や収穫時期が7月に集中するため、もぎ取った実を選果し、きれいに箱詰めする労働力は不足気味。1・2ヘクタールで栽培する大久保さんの果樹園でも、豊作だった昨年、一昨年は全体の3割近くの収穫をあきらめたり、価格の良いギフト用に回せなかったりした。
CFでは粒の大きい2L以上を収穫後24時間以内に送るため、青果配送で経験のある同社社員らが選果や箱詰めを行う。大久保さんは「きちんと収穫し、良いものを適正価格で売りたい」と今回の試みに期待。山内さんは「地元の価値ある果物を選び、全国に届ける手伝いができれば」と意気込む。
目標額は150万円。受け付けは5月末まで。佐藤錦など返礼品の品種により出資額は7千円、2万円などの3コースがあり、7月の収穫後、順次発送する。(伊藤圭三)
(北海道新聞2023年5月10日掲載)