看板の「米粉のシフォンケーキ」は、地域で愛され続けるロングセラー商品。今年で誕生から20年を迎えた。材料の米粉は、上川管内東川町産のコメだけを使っている。小樽と東京の洋菓子店で修業し、初代で父親の高島孝二さん(87)から店を引き継いだ2代目の高島郁宏さん(60)が「地元に根差したスイーツを」と考案した。
試作では米粉がパサパサになってしまうことが最大の課題だったが、高島さんは「むしろ、水分をたくさん入れられる」強みとして捉えた。水分を小麦粉の3倍ほど吸収する特長を生かし、大雪山系の伏流水をたっぷり含ませた。その結果「しっとり、ふわっと、もっちり」の順に食感を楽しめるシフォンケーキが出来上がった。
大雪山系の雪が解けて伏流水になり、その水が田んぼで使われ、おいしい米を作る農家がいる。高島さんは商品を説明するタグに、ストーリー性も盛り込む。
生地のたねは米粉が85%。塩と水を加えた卵黄をミキサーにかけ、ふわっと立たせ、生クリームと米粉、メレンゲを入れて焼き上げる。水の量は、その日の温度や湿度などによって変える。東川町で生産していない小麦や牛乳は、同管内美瑛町産でそろえる。店舗1380円、オンラインショップ1500円。
誕生20年に合わせ、新商品「米粉のシフォンケーキ コーヒー」(店舗1650円、オンライン1800円)も作った。町内のコーヒー豆店「ヨシノリコーヒー」とコラボレーションし、エスプレッソと豆の粉末を加えた。「米粉がコーヒーをしっかり吸収し、濃厚な味わい」と高島さん。
米粉は「他の素材の香りや味を引き出す特徴もある」といい、高島さんは「今後も新しい素材との組み合わせを考えたい」と新たな菓子に思いを巡らす。 (旭川報道部 桜井則彦)
▼所在地 上川管内東川町南町1の1の3 |
▼電話 0166・82・3004 |
▼営業時間 午前8時半~午後7時半(日曜、第4水曜は午後6時) |
▼取り寄せ 自社ホームページのオンラインショップから(https://tengetsuan.shop) |
▼定休日 第1、第2、第3、第5水曜(祝祭日やイベントなどで変更になる場合がある) |
(北海道新聞2023年5月26日掲載)
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