【遠軽】町白滝の食品製造販売会社「白楊舎」が5月中旬に発売した、白滝遺跡群出土の黒曜石をイメージしたコロッケ「くろッケ」が早くも話題になっている。真っ黒でユニークな見た目とともに、地域特産のジャガイモなどを使った優しい味が特徴。同社は「国宝指定を前に、白滝が注目を集めるきっかけになれば」と期待している。
くろッケを考案したのは、白滝市街地にある同社直営店の店長で的場秀太社長(47)の妻・佳奈絵さん(39)。白滝遺跡群出土品が国宝に内定した昨年11月、「地域を盛り上げる後押しがしたい」と、黒曜石に見立てた総菜品の販売を思い立ったという。看板商品の鶏の唐揚げを黒く着色することも検討したが、同じくロングセラーのコロッケに白羽の矢を立てた。
見た目のインパクトとおいしさを両立させるため、佳奈絵さんは何度も試作を重ねた。同社のコロッケは地元農家が生産するジャガイモ「白滝じゃが」をメインに、ひき肉やニンジン、タマネギなどで手作りした家庭的な味わいが魅力。オリジナルの味を損なわないよう着色には無味無臭の食用竹炭を採用し、衣も中身も真っ黒に仕上げた。形は出土品を代表する大型の尖頭(せんとう)器(やりの先端)を模して、手で持って食べ歩きできるようにサイズも工夫した。
「くろッケ」の名付け親は、直営店で一緒に働く佳奈絵さんの母・青柳秀子さん(65)。「黒曜石を連想させつつ親しみやすいネーミングに悩んでいた時、隣でぼそっとつぶやいてくれた。イメージにぴったり」と、佳奈絵さんは感謝する。1個150円で販売を始めると、地元客の間で評判に。えんゆう農協白滝支所に勤める野田光さん(47)は「真っ黒で印象に残るし、ホクホクしてうまい」と褒める。
今年で創業72年の同社は、白滝で採れた山菜や野菜の缶詰、加工肉の製造のほか、総菜や生鮮品なども幅広く扱う地域にとってはなくてはならない存在だ。的場社長は「過疎化が進み、若い人が少ないのが地域の悩み。黒曜石の国宝指定で白滝が注目され、観光などの流動人口が増えることを期待している。『くろッケ』が新たな名物となり、少しでも貢献できたら」と話している。
直営店は水曜定休。営業時間は午前9時~午後6時(日曜は午後5時まで)。(元井麻里子)
(北海道新聞2023年6月1日掲載)
農家民宿経営 江面さん夫妻がレストラン*白滝の食材 おいしく提供*週2日 一般向けランチ