【奥尻】今春まで町の会計年度任用職員だった若山孝仁さん(53)と妻の恵さん(54)が青苗地区の旅館の経営を継承し、民宿「優凪(ゆうなぎ)」として再開した。さらに、民宿の食堂を活用して新たに居酒屋「波止場」を新規に開業。青苗地区での新たな飲食店開業は10年ぶりといい、早速多くの地域住民らが訪れ、夜の社交場としてにぎわっている。
夫妻は奥尻町出身。孝仁さんは奥尻高公務補を6年間、恵さんは町営バス運転手を15年間務めた。居酒屋と民宿経営は以前から考えていたという。今年2月、仕事を継続しようと町に願書を提出した後、同地区の「菊池旅館」が売りに出ていることを知り「年齢的にもこれが最後のチャンス」と購入を決断したという。町への願書は取り下げた。5月20日に居酒屋を開業、6月1日には民宿が営業をスタートした。
「波止場」は孝仁さんの亡き母が青苗で営んでいたスナックの名前を受け継いだ。テーブル26席で地場産の新鮮な魚介をはじめ、アスパラガスの天ぷらや牛すじ煮込み、だし巻き卵などを提供する。
今後はビアガーデンやバーベキュー会を開き、地域の憩いの場にしたい考え。孝仁さんは「地元客や観光客に喜ばれる居酒屋にしたい」、恵さんは「何かと暗い話題が多い奥尻を少しでも活気づけられたら」と意気込んでいる。 居酒屋は午後5時~9時半、月曜定休。民宿は和洋室の計14室で、定員40人。うち1室は愛犬と一緒に泊まることができる。朝食込みで6000円~7000円。予約、問い合わせは波止場または優凪、電話01397・2・7577へ。(宮崎将吾)
(北海道新聞2023年6月13日掲載)