札幌市中心部に7月にオープンする複合商業施設の「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)」内の水族館「AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)」が6月16日、フェアリーペンギンを報道関係者に先行公開しました。フェアリーペンギンは世界最小のペンギンで、道内での展示は初めて。小さな足でチョコチョコと歩き回ったり、争うように餌を食べたりと元気いっぱい。フェアリー(妖精)の名前の通りかわいらしく、人気者になりそうです。
フェアリーペンギンはオーストラリア南部とニュージーランドに生息する体長30~40センチ、体重1キログラムで、世界に18種類いるペンギンのうち、世界最小。体色は青みがかったグレーで、お腹は真っ白です。小さな体ですが、チョコチョコとよく動き回り、水の中では切り裂くように素早く泳ぎます。野生下では昼間は海にいて、暗くなると浜辺に上陸し、夜は外敵を避けて内陸のブッシュ(やぶ)の中で過ごすそうです。日本動物園水族館協会加盟の施設では、フェアリーペンギンの展示は国内4例目。
アオアオで飼育しているのは、雄3羽、雌2羽。いずれも葛西臨海水族園(東京)生まれの4~5歳で、動物を貸し借りする「ブリーディングローン」で借り受けました。アオアオにやってきて、最初は慣れない様子だったといいますが、環境に慣れ、餌もよく食べるようになったことから、先行公開されました。
ペンギンの飼育室は二つのスペースに分かれており、一方に人工海水を入れたプール、一方に砂地と陸地があります。ペンギンたちは最初はプールを泳ぎ回っていましたが、飼育員が餌を入れたトレーを持って入室すると、一斉に陸地側に移動。飼育員の後を一生懸命追いかけます。
この日の餌はキビナゴとイカナゴ。ほかにもイワシの仲間やイカ、オキアミなども食べるそうです。飼育員がトレーを置くと、みんな顔を突っ込むようにして食べ始め、数分で食べきってしまいました。来館当初は食欲の落ちていた個体もいたそうですが、今は1羽当たり1日に2回、計200グラムほど食べるそう。体重の20%ほども食べる計算で、ヒトなら大変な大食漢です。
アオアオの館長補佐の楠田幸雄さんは、フェアリーペンギンを飼育している長崎ペンギン水族館(長崎市)から着任しました。楠田さんは「水族館生まれなので、人なつっこく、ガラス越しに人が見ているのも気付いていて、カメラを構えると寄ってくることもあります」と教えてくれました。
飼育室の中は気温20度に届かない程度に保たれ、ビルの中ですが、照明で昼夜の調節をしているそうです。5羽のうち雄雌2組がカップルで、楠田さんによると「なんとなく、カップルは一緒にいることが多い」というラブラブぶりで、3~5月には繁殖も期待されています。
フェアリーペンギンが展示されているのは、6階の「GREEN ROOM」。熱帯地方原産のゴムの木などフィカス類の樹木20種類以上が植栽されています。大きいものでは高さ3メートルほどのベンジャミンやパキラなどが茂り、ほどよい照明に照らされた落ち着いた空間です。六角形のベンチもあちこちに配され、飲み物片手に休憩しながらペンギンを眺めることができます。
アオアオはモユクサッポロの4~6階で、7月20日オープン予定。名称は、生命が生き生きと繁茂する様子の「青々」に由来しています。フェアリーペンギンのほかに、キタイワトビペンギンも飼育、公開されます。7~28階はマンションで、すでに入居が始まっています。
住所/札幌市中央区南2条西3丁目20 |
営業時間/午前10時~午後10時 |
休館日/年中無休 |
札幌・狸小路の新ランドマーク 食やお酒も魅力的 「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)」7/20オープン
まちなかの水族館 生命感じて 「AOAO SAPPORO」先行公開