函館市の洋菓子店「パティスリーメゾンフジヤハコダテジャパン」(本町)のチーズケーキ「ガトーフロマージュ」が、専門家による食品の審査制度「第66回ジャパン・フード・セレクション」(8月)で最高賞のグランプリを獲得した。道内の生洋菓子、道南企業によるグランプリ受賞はいずれも初めて。統括シェフの藤谷圭介さん(39)は「受賞の喜びを、新商品の開発につなげたい」と話している。
2014年から続く同セレクションは、日本フードアナリスト協会(東京)が毎月発表。同協会が認定する全国のアナリスト2万3千人が申請や推薦のあった食品を書類審査や試食を通じて評価している。道内からのグランプリ受賞はこれまで2品のみだった。
同店は21年6月にオープン。ガトーフロマージュは原料のバター、クリームチーズ、生クリームを道産にこだわる。別添のフランス産天日塩「ゲランドの塩」をかけると、「より輪郭のある味わい」(藤谷さん)も楽しめるのが特徴だ。
審査では、試食したアナリスト70人の6割超からグランプリ受賞の基準となる100点満点中90点以上を獲得。審査員からは「チーズのうまみと酸味に加え、控えめな甘さのバランスがとても良い」「濃厚な味わいと滑らかな食感で食欲をそそる」「グルテンフリーで保存料・着色料を使っていないため安心」などと高い評価を得た。
ガトーフロマージュはもともと、系列のフレンチレストラン「メゾンフジヤハコダテ」(元町)で商品化された。同店がオープンした20年6月は新型コロナ禍が始まったばかりで、函館では観光客が激減。集客に苦戦する一方、ガトーフロマージュの通販や道外百貨店での販売を通じ、店の知名度を高めるきっかけとした。藤谷さんは「メゾンフジヤの生き残りをかけた商品。(受賞は)特別なうれしさがある」と感慨もひとしおだ。
購入はパティスリーメゾンフジヤか、メゾンフジヤ(要予約)。またはメゾンフジヤの電子商取引(EC)サイト(maisonfujiya.official.ec)から。(中橋邦仁)
(北海道新聞2023年8月23日掲載)