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2023.09.15

屋台で道産のお酒とつまみをペアリング オータムフェスト7丁目会場の「酒×肴屋台」

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

「きんとと」のどて串5種類盛り合わせ

 9月8日(金)に開幕した「2023さっぽろオータムフェスト」。会場の札幌・大通公園は、秋の味覚とおいしいお酒を求める人で連日、にぎわっています。道産のワインや日本酒がそろう「大通公園7丁目BAR」の西側に、ほかのブースとはちょっと違う屋台のようなお店が4店、出ているのを見つけ、「TripEat北海道」の同僚と一緒に訪れてみました。

調理スペースを「コ」の字に囲むカウンターは、お客さんとスタッフの距離の近さも魅力

 「北海道・酒×肴屋台」と名付けられたこの4店は、調理スペースの前に「コ」の字型にカウンター席が10数席ある、屋台スタイルです。2020~22年は新型コロナの影響で休止。今年、4年ぶりに復活しました。4店はそれぞれ、自慢の看板メニューとそれに合うお酒のペアリングを提案しており、今回はその組み合わせを全部試してみました。

「ビール×焼き餃子」を提案 いせのじょう

「ビール×焼き餃子」を提案する「いせのじょう」

 最初に訪れたのは、「餃子と麺 いせのじょう」。札幌市白石区菊水に本店がある人気ラーメン店です。

「いせのじょう」の焼餃子とビール。合わないわけがない

 ここでは「ビール×餃子」を提案しているので、生ビール(600円)と焼餃子(500円)で乾杯です。きれいな焼き色の付いた小さめの餃子が5個。ビールをグビグビっと流し込み、餃子をこしょうをたっぷり入れた酢に付け、一口でぱくり。小さいながら、ぎゅっとお肉が詰まっていて、うまみがあります。細かく切ったキャベツが入っており、時々感じるコリコリとした歯触りが楽しい。酢じょうゆでも食べてみましたが、酢こしょうの方が合う気がします。

次々と入る焼餃子の注文をさばく「いせのじょう」のスタッフ

 食べ物のメニューは餃子のほか、辛口白菜ラーメン(千円)としょうゆラーメン(800円)、しょうがラーメン(900円)のみ。同行してくれた同僚がしきりと、「しょうがラーメンいいなー」とつぶやきますが、まだ1店目。「4店回っておなかに余裕があったら来ましょう」と説得し、次のお店へ。

「レモンサワー×どて串」推し きんとと

「レモンサワー×どて串」推しの「きんとと」

 2店目の「きんとと」は、二条市場内にある「のれん横丁」にあるお店。午後3時オープンの「昼飲み」推奨店で、いつも早い時間から混雑しています。

レモンサワーとどて串3種盛り。この日は、牛すじと豚タン、豆腐

 このお店は「レモンサワー×どて串」。レモンのスライスを浮かべたレモンサワー(400円)とどて3種盛り(900円)。この日は、十勝和牛すじ(350円)と当別産豚タン(350円)、江別産豆腐(250円)を盛り合わせてくれました。ほかにどて串は、留寿都産大根(300円)と道産玉子(250円)もあります。

 レモンサワーで2度目の乾杯。どて串は濃い茶色で、一見しょっぱそうですが、みその優しい甘さがあり、薄味といってもいいくらい。豆腐はもめんでしっかりした食感。すじはほろほろに煮込まれ、うまみがじゅわっと出てきます。豚タンはシャクシャクとした歯触りで、固かったり、かみにくかったりするところはまったくありません。確かに、レモンサワーのさわやかさにぴったりです。

陽気な「きんとと」スタッフ

 本店ではくん製も売りにしており、屋台でもカマンベールと鶏もも、ホタテ、卵の「道産食材の燻製串」(700円)や「中札内産枝豆の燻製」(500円)があります。お店の人たちは陽気で、気さくに話しかけてくれます。「この店は、札幌の人より観光客など道外のお客さんが多いよ」と言います。確かに、横に座った女性がメニューを指さして「この『鮭とば』って何ですか」と聞いていました。

「ハイボール×小籠包」推奨 KENT,S

「ハイボール×小籠包」を推奨する「KENT,S」

 次のお店は「KENT,S(ケントス)」。「創成イースト」にあるお店です。本店は鉄板焼きや創作料理を提供するダイニングです。屋台では、蒸し料理を中心に提供しており、調理スペースでは、せいろがもうもうと湯気を上げています。

ハイボールと蒸したて小籠包

 ここでは「ハイボール×小籠包」を推奨。アサヒブラックニッカハイボール(500円)と小籠包(3個、700円)をお願いします。スタッフが四角いせいろを持ち上げて蒸したての小籠包を取り出し、スライスしたネギと肉そぼろをのせてくれました。猫舌なので、やけどが怖くてちょっと待ってからいただきます。スープがこぼれるのを防ぐため、一口でぱくっ。ジュワーッとおいしい肉汁とスープが口の中にあふれます。一口で食べて正解です。そのおいしい後味が、ハイボールですっきり。

「KENT,S」の山口社長(右)とスタッフ

 調理スペースの端では、黙々と肉を皮に包んでいる人がいます。店で作って持ってくるのだと思っていたので、「ここで作っているんですか」と声をかけると、「ほかは作ってから持って来ますが、シュウマイだけは包みたてを蒸します」と教えてくれました。黙々と作業をしていたのが、KENT,S社長の山口賢人さんでした。お店の名前は社長の名前からとったのですね。

「日本酒×もつ煮込み」のペアリング やまり

「日本酒×もつ煮込み」を勧める「やまり」

 最後のお店は「もつ処 やまり」。札幌の中心部に本店と支店の2店を構えるもつ焼き、もつ煮込みのお店です。

日本酒とだしの香りが豊かなもつ煮

 ここのペアリングは「日本酒×もつ煮込み」です。日本酒は根室の「北の勝」と増毛の「国稀 鬼ころし」(各500円)。冷やをコップ酒でいただきます。きゅっと一口。思わず「ふーっ」と声がでます。そして、もちろんもつ煮(600円)。ここのもつ煮は、道産のもつをかつお節と鮭節のだしで煮込んでおり、あっさり関西風。一味をぱぱっと振ります。目の前に出された時から、だしのいい香りがします。柔らかく煮込まれたもつは、かみしめるとうまみが出ておいしい。牛のハツやミノ、豚のガツやコブクロなどいろいろな部位が入っており、味わいや食感が違って楽しめます。いちょう切りのダイコンや三角に切った油あげ、数センチにカットされた昆布とスライスしたシイタケも入っており、おでんのような味わいも。うーん、飲まさります。

もつ煮のだし入り卵液を鉄板の上でくるくる巻くスタッフ
あっという間にだし巻き玉子の完成

 目の前の鉄板ではもつが焼かれています。卵を溶いて、そこにもつ煮のだしを入れて、鉄板にジュワー。こてで器用にまとめ、くるくる巻いてだし巻き玉子(600円)が完成しました。思わず、「こっちにもだし巻き玉子ください」とオーダーしてしまいました。隣の同僚も「もつ焼もお願いします」。

もつ焼とだし巻きを追加。もちろんビールも追加

 そうすると、お酒が足りません。一周回ってビールに戻り、はい、乾杯。だし巻きは、もつ煮のつゆとは思えない、上品な味。卵焼き用の四角いフライパンを使ったわけではなく、鉄板でこてで焼き上げたのに、玉子がきちんと層になっていて、ふわふわです。もつ焼にも一味をふりふり。臭みもなく、おいしい。

日本酒の「だし割」を楽しんでいた男性。「写真撮らせて」というと気さくにOKしてくれました

 隣の若いカップルの男性が持っている日本酒のコップの中が、濁っています。思わず、「だし割りでしすか」と話しかけると、にこやかに「そうですよ。おいしいですよ」と答えてくれました。以前、東京に勤務していた時、下町のJR赤羽駅前の立ち飲みおでん屋さんでは、カップの日本酒を半分くらい飲んで、そこにだしを入れてもらう「だし割り」が定番でした。そんな話で隣の人たちとも話が弾みます。こういうところも、屋台のおもしろさかもしれません。

「やまり」北2条店の店長さん。元気な声が店を活気づかせています

 「はーい、もつ煮でお待ちの方ー」「こっちビール2つね!」と元気のいい声が飛び交います。この屋台を仕切るのは、北2条店の店長さん。北2条店はお休みして、オータムフェストに出ているそう。「ありがとうございます。またどうぞ」と、威勢のいい声に見送られて、店を後にしました。

 オータムフェストは9月30日(土)までの、午前10時から午後8時半まで。

北海道の秋の味覚を楽しもう 「2023さっぽろオータムフェスト」開幕 9/30(土)まで大通公園を会場に
北海道産食材とワインを楽しむ「2023ピコレ秋のワインフェアー」開幕 10/1まで、さっぽろテレビ塔下で

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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