旧旭川グランドホテルや前身の旧ニュー北海ホテルで40年以上親しまれ、2018年に閉店した「ベーカー ペストリー」の味を継ごうと、「リトルグランド ザ ベーカリー」(旭川市豊岡4の5)が18日に開業。ホテルの元従業員でベーカー長の田中隆幸さん(59)は「伝統の味と新たに開発した両方のパンを楽しんでもらいたい」と話す。
田中さんは旭川出身。市内の高校を卒業後、1983年に旧ニュー北海ホテルに入社した。配属先は第2希望として出していたベーカー部門「ペストリー」。当初は特にパン好きではなかったが、自分が丹精して作ったパンを食べた客から「おいしかった」と言われる度に仕事への熱量も自然と上がっていったという。
旧旭川グランドホテルは2018年4月に「OMO7旭川」に名称が変わり「ペストリー」は閉店。田中さんはパン作りから遠ざかった。一方で常連客から「あの味が忘れられない」と惜しむ声が届いた。もう一度なんとかやれないか―。昨年12月に同ホテルを退職し、パン店開業に踏み切った。
一方、運営面は旧旭川グランドホテルの同僚だった湯浅秀昭さんが専務を務める竹内山林緑化農園(美瑛町)が創業100年を迎えたことを記念した事業の一環で設立した子会社「リトルグランド」が行うことになった。
「リトルグランド ザ ベーカリー」では、美瑛産の小麦や乳製品など地場産にこだわった食パン「エブリタイム」(1斤あたり648円)のほか、旧グランドホテルでも提供していたデニッシュ・ペストリー(313円)やバターロール(162円)など約30種類を販売する。田中さんは「『またあのパンが食べられた』とお客さんに喜んでもらえるよう頑張りたい」と意気込む。
営業時間は午前9時~午後3時まで。月、火曜日が定休日。問い合わせは店の電話080・6579・3111へ。(山中悠介)
(北海道新聞2023年10月17日掲載)
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