【南幌】町内西町4の住宅街に10月、洋菓子店がオープンした。町内では8年前に別の洋菓子店が閉店して以来、ケーキを製造販売する専門店がなかった。一方で近年、札幌などから子育て世代が多く移り住み、洋菓子店が待ち望まれていた。オーナーの岡部美香さん(36)は「地元から長く愛される店を目指したい」と張り切っている。
店名は「one day」。自宅敷地内に店舗用のコンテナハウス1棟(15平方メートル)を建て、1日に開店した。認定こども園に通う長女の子育てをしながら午前5時から洋菓子を作り、販売も行う。ロールケーキやチーズケーキ、シフォンケーキなど6種類ほどが並び、今は地場産のカボチャや栗を使った旬のスイーツがお勧めという。
価格は300~400円台が中心。道産の小麦粉や卵、砂糖、バターなどにこだわり、添加物や既製品のクリームなどは使わないのがモットー。「小さな子どもが安心して食べることができる商品を提供したい」と語る。
岡部さんは町内出身。出産を機に札幌から実家に戻った。子育てをするうちに「子どもの誕生日ケーキを買える店が地元にない」ことに気づいた。
今年1月1日時点の国の人口動態調査によると、南幌町の人口は7546人で、前年比168人増。札幌に近く、子育て支援策も充実していることなどが要因で、日本人に限った増加率は全国の町村で最大の2・09%だった。
そこで札幌の洋食店で調理師として勤務しデザート作りも担当した経験を生かすことに決めた。岡部さんは来店客から「地元にケーキ店ができてよかった」と喜ぶ声を聞くといい「忙しくてもやりがいを感じる」と話す。
営業は正午~午後5時。日曜休み(不定休あり)。店舗情報はインスタグラムで発信している。(山本忠彦)
(北海道新聞2023年10月17日掲載)