【歌志内】市内文珠の「木村精肉店」が、郷土食のなんこ(馬の腸)加工品などを扱う冷凍自動販売機を設置した。なんこは昨年末に取り扱っていた店が閉店し市内で入手できなくなっていたが、約10カ月ぶりに市内で販売を再開。住民らは喜んでいる。
なんこはみそ煮などにされ、炭鉱マンにスタミナ食として愛されてきたが、最近は正月など親戚が集まった時に食べる料理として親しまれている。
なんこは「肉の木村」(歌神)が市内で唯一販売していた。だが閉店以来、同店創業者の木村厚さん(88)らに住民から惜しむ声が寄せられるようになった。看護師だった次女、吉田琴美さん(62)は「父の味が途絶えてしまうのはもったいない」と考え、創業当初の「木村精肉店」の名前に戻し、なんこ加工品を再び製造販売することにした。
吉田さんは、厚さんらから、味付けや仕込みを約1か月間学び、8月に自宅横に加工場を整備。9月末、加工場前に自販機を1台設置した。
商品は「なんこの味噌煮」(180グラム800円)「生なんこ」(500グラム1200円)、ラムジンギスカン(300グラム900円)など5種類。自販機は「道の駅うたしないチロルの湯」近くの道道赤平奈井江線沿い。味噌煮を購入した市内の団体職員佐藤友美さん(44)は「また買えるようになってうれしい。自販機だと気軽でいいですね」。
吉田さんは「一番人気は味噌煮。市外のお客さんに『頑張ってずっと続けてほしい』と言われてうれしかった。今後は商品を増やしたい」と話している。(宍戸透)
(北海道新聞2023年11月8日掲載)
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