今年7月に札幌市中心部にオープンした「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)」内の都市型水族館「AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)」で、青や赤、白などさまざまな体色が特徴のクラゲ「カラージェリーフィッシュ」が繁殖し、その赤ちゃん「稚クラゲ」の展示が始まりました。水族館での生育や繁殖の事例が少ないこともあり、なぜ多彩な体色があるのかや生態の詳細などは分かっておらず、アオアオで生育の過程を観察、展示することで、解明につながればと期待が高まっています。展示は来年1月15日(月)までです。
カラージェリーフィッシュの「稚クラゲ」が育つまで
アオアオで生まれ、育った生物の展示は、これが初めてです。アオアオでは、6階「プランクトンルーム」で現在、カラージュエリーフィッシュとミズクラゲ、インドネシアシーネットルの3種類のクラゲを展示しています。カラージュエリーフィッシュはこのエリアの真ん中の3つの水槽で展示しており、そのうち1つに稚クラゲを入れています。
クラゲ担当のスタッフが今年8月、カラージェリーフィッシュの展示水槽内に2~3ミリのエフィラ(幼生)がいるのを発見。成体と分けてえさのプランクトン「アルテミア」を与えて育成したところ、かさの部分が1~3センチほどにまで成長したため、展示することになりました。
成体はコロンとした丸いかさと、鮮やかな赤や青、緑、赤紫など個体によってさまざまな体色を持つのが特徴。稚クラゲは形は成体と同じですが、体色は透明で色は付いていません。これからさらに育てて観察することで、いつごろ色が付くのかなど、生態の一端が解明されるかもしれません。
通常、クラゲは専門業者から成体を仕入れ、約半年ほどで寿命を迎えるため、購入して入れ替えているそうです。クラゲの飼育担当のスタッフ後藤雪奈さんは「増殖の方法が分かれば、アオアオで生まれ育ったカラージェリーフィッシュを常時展示することができるようになるかもしれません」と話します。
「お絵かき獣医さん」の角川さんが4コマまんがに
「お絵かき獣医さん」として知られる、小樽市のおたる水族館とアオアオの獣医師の角川(つのかわ)雅俊さんがカラージェリーフィッシュの成長の様子と、アオアオでジェリーフィッシュのエフィラが発見され、展示されるまでを4コマまんがにしてくれました。
ほかの種類のクラゲも幻想的に
日本近海にも生息するミズクラゲは、国内各地の水族館などでも増殖しており、アオアオでは現在、50センチほどの水槽6つを横に並べ、左にエフィラ、一番右に稚クラゲを入れ、生育の過程を観察できるように展示しています。
ミズクラゲは、大水槽2つにも展示されています。照明が落とされ、青色の光で照らされた水槽の中をプカプカと泳ぐ姿は幻想的です。この水槽の前にはスタンディングテーブルが置かれているので、寄りかかりながら長い間眺めている人も多くいます。
もう1つのインドネシアシーネットルは、丸いかさから出た煙のように揺らぐ長い口腕が特徴。口腕が優雅に流れる様子は、見ていて飽きません。
「たべっ子水族館」のイベントも
一方、アオアオでは来年2月29日(火)まで、動物をかたどったビスケット「たべっ子どうぶつ」の製造元のギンビスとコラボレーションしたイベント「たべっ子水族館」を開催中です。館内に設置されているパネルにクイズが出題されており、回答しながらスタンプを集めるスタンプラリー(参加料500円)や、好きな色を塗って完成させるトートバッグづくり(同1200円、土日・祝日と12月26日~1月19日の午後1時~4時)を実施しています。。
館内のあちこちには撮影スポットも設置。また、「たべっ子どうぶつ」の姉妹品として2007年に発売されたチョコをしみこませたクッキー「たべっ子水族館」にちなみ、「たべっ子水族館」に登場する海の生き物についての、アオアオスタッフによる解説も掲示しています。「たべっ子どうぶつ」や「たべっ子水族館」のほか、ぬいぐるみやキーホルダー、ポーチなどの関連グッズの販売コーナーもあります。
まちなかの水族館 生命感じて 「AOAO SAPPORO」先行公開