【沼田】町内に2012年に移住し、農家となった鶴山甲晋(こうしん)さん(52)が、2年後にワイン醸造所を設立する夢に向けて着実に歩んでいる。現在は収穫したブドウを岩見沢の醸造所に委託してワインを作っているが、「沼田にワイナリーができれば北空知で唯一。ワインで町を盛り上げたい」と思い描いている。
鶴山さんは滋賀県出身で、実家の建設会社を経営していた。「公共事業の受注は波が大きい。農業はそこまで大きな波がないはず」と経営を弟に譲り、40歳で沼田町に移住した。農家で3年間の研修を積み、農地約30ヘクタールと家などを受け継ぎ、コメやソバなどを作り始めた。
「冬も醸造などの仕事ができる」とワインを志したのは就農3年目となる9年前。道主催の講座「北海道ワインアカデミー」に通い、醸造法などを学んだ。5年前からナイアガラやピノ・ノワールなどワイン用のブドウを育て始め、21年からは滝沢ワイナリー(三笠)に醸造を委託してワインも製造、雪解け時期に樹木の根元の雪が解ける「根開け」から「NEAKE」と名付けて販売を始めた。町内でワイン造りの道を切り開く思いも込めた。
今秋からワイン製造は岩見沢の醸造所「ワイン畑浦本」に委託。スパークリングワインと微発泡の赤ワインの2種類を来年1~2月ごろから、いずれも1本2750円で販売する予定。
鶴山さんは「ブドウは収穫時にボランティアが集まり、地域ににぎわいが出るのも魅力。2年後に町内で自社醸造所を開設したい」と目標を語っている。
22年産ブドウの赤ワイン(2750円)は在庫がある。問い合わせは鶴山ファーム、電話080・4485・4070へ。(佐藤大吾)
(北海道新聞2023年12月13日掲載)